投稿者:河内平野  投稿日:2014年11月23日(日)09時52分8秒    通報
さて「地獄の門」を入ってすぐ、裸で泣き叫び、血だらけで、虫たちに体を吸われている男女がいた。
それは、「善いことも、悪いこともせず世を送った者たち」であった。

神と反逆天使(悪魔)との戦争の時、本気で悪と戦おうとせず、どっちつかずだった者も、中に入っていた。
彼らは、天国へも行けず、かといって地獄にも受けいれられず、だれからも見放され、地獄の入り口でさまよっていた。

「『生きた』」ことのない卑しい者たち!」。
ダンテも、他の重罪人に対する以上に、大きな軽蔑を示す。
なかには、聖職者としての重大な立場にありながら、臆病ゆえにしりごみしてしまった者もいる。
彼が自己の責任を自覚して、信徒のために戦わなかったことを、ダンテは厳しく裁いているのである。

――人生はあっという間である。
青年部として、広宣流布の時に生まれあわせ、「法」も弘めず、「人」も救わず、
歴史を残さなかったならば、永遠に悔いを残すであろう。
「可もなく、不可もなく」は不可である。

初代会長牧口先生は「善いことを行わないのは、悪いことをするのと同じである」と言われた。
とくに日本の青年部は、大きくできあがった広布の世界に安住して、
そこで遊戯しているだけならば、あまりにも安易である。

真に「生きた」という実感のない人間になってはならない。
自分たちの世代で、自分たちの大いなる広布前進の歴史をつづらねばならない。
それでこそ「勝利の青春」である。

このあと師弟はしだいに地獄の下方へと探究に進む。
軽い罪から重い罪へ、単純な「不節制」(自分を抑えられない愛欲、貪欲、浪費とケチなど)から、
他人、自然、自分にたいして「暴力」をふるった者たちへ、と。(自分への暴力の最大のものは自殺)

そして、さらに底には「欺いた者たち(ウソつき)」がいる。
汚職政治家や、金もうけの聖職者、おべっかつかいや偽善者である。
「欺いた者たち」の中でも、最後の地獄の最下層には、「裏切り者」たちがいる。
その中でも、主人への反逆者が地獄のどん底にいる。
キリストを売ったユダ、シーザーを殺したブルータスらである。
彼らは地獄の王によって、かみくだかれている。

「裏切り者」たちは、完全な氷の世界に閉じ込められ、顔だけ犬のようにふるえて氷の上に突き出している。
凍てついた《生命の氷の世界》の象徴であろう。