2014年11月20日 投稿者:河内平野 投稿日:2014年11月20日(木)11時29分46秒 通報 編集済 最近、この事実を素材に、日ソ共同で映画が作られた。 その映画を見たある人が内容を語ってくれた。 その話に基づいて少々かたっておきたい。 題は『未来への伝言』 ――未来に「伝言」(メッセージ)として、伝えたいもの ――それは、国境や官僚制の《カベ》を超えた「人間としての連帯」である、との意味であろうか。 これまで、あまり知られていなかったことだが、ワクチンを作り、 日本人に送ったソ連の医師たちも、じつは大変な戦いをしていた。 そのことを、この映画で、初めて知ったという。 ひと口に「一千万人分のワクチン」というが、製造は並大抵のことではない。 しかも、それまで「寄贈」さえ拒否していた日本が、突然、「すぐに送れ」である。 間に合うかどうか。 しかし、ぐずぐずしていたら、子どもたちが危ない。 不眠不休の仕事が続いた。 「そんな遠い国の人々のために、どうして」と言う人もいた。 「自分の研究が忙しい」と言う人も。 無理もなかった。 そのうえ、それだけの犠牲をはらってワクチンを作っても、経済的にも、 学者としての出世の面でも、プラスになるわけではないのである。 「日本の子どものことなんか関係ない」といえば、それまでであった。 「助けたいが物理的に無理だ」と言えば、いくらでも言える状況であった。 しかし、ソ連の研究者たちは言った。「やろう!」と。 《われわれには、たくさんの困難がある。また悲惨な状態にあるのが、 はるかかなたの国(日本)であることも事実だ。しかし、助けられる可能性があるのだ。 その時に、助けようとしないやつは、いないだろう。 それでこそ「人間」じゃないか。そこに「人間」の基準があるんじゃないのか》 《薬》を必要とする人がいる限り、あらゆる障害を越えて、ともかく《薬》を届けるのが「人間」だ――と。 こうして、研究所では二十四時間態勢がとられた。 スタッフの不眠そして不休の献身的仕事で、ワクチンは完成した。 【広布三十周年記念フランス総会 平成三年六月十八日(全集七十七巻)】 Tweet