投稿者:信濃町の人びと 投稿日:2017年 8月14日(月)20時30分44秒   通報
池田大作全集76巻
海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)⑥

■魯迅は「時を知れ」と祖国に叫んだ

きょうは先日、ともに香港を訪問(一月二十七日~二月二日)したメンバーが来ておられるが、革命の文学者、中国の魯迅(一八八一年~一九三六年)は、一九二七年二月、香港を訪問している。この時、二回、講演をした。その一つが「古い曲はもう歌いおわった」(萩野脩二訳、『魯迅全集』9所収、学習研究社)と題する香港青年会での講演である。彼は訴えた。

――清朝が滅びたばかりの祖国・中国。もう、いいかげんで「新しい曲を歌う」(新しい思想を語る)人々が出てきてもよいではないか。

ところが、学者先生たちは、民衆の幸福に何の関係もない「古い曲」、すなわち道学(古い道徳を説く学問)とか、古典の訓詰註釈を続けている。そんなことを中国はいつも繰り返し、いつも滅びてきた。またも、性懲りもなく古い曲を歌うのか。

もう「歌い終わる」べきだ。青年の皆さんは、「まったく新しい時代」が来ていることを知ってほしい――。これが、香港での魯迅の叫びであった。

ベートーヴェンの「歓喜の歌」合唱の歌い始めは、「おお友よ、こんな調べではなく!」である。それまでの第一楽章から第二楽章までの調べを否定し、人類融合への新しい「民衆の歌」を歌おう! と立ち上がる。

魯迅の講演の題は、おそらくこれを踏まえているのだろう。

「どのようにすればいいのでしょうか」(前掲書)
魯迅は言う。――古い曲をやめない人々には、閉じた家や書斎から出ていってもらって、自分の周囲がどうなっているか、さらに社会が、世界がどうなっているかを見てもらいましょう! と。

社会と世界の「現実を知る」ことだ。そうすれば、自分たちがどんなに時代遅れになっているか、わかるだろう。そうやって、自分でわからせる以外に、どうしようもないのだ、と魯迅は説いた。

″今までがこうだったから、これからも、というのは進歩の敵だ。社会の敵だ。新しい時代にふさわしい、新しい調べを歌うのだ!″

ベートーヴェンも魯迅も、こう叫んだのである。
仏法も″時″を大切にする。時を見ぬけず、時を誤ること、いわんや時に逆行することは、真の仏法者の振る舞いとはいえない。

時代は「民主」と「対話」へと向かっている。ひとにぎりの政治権力者等のために、この流れを逆行させてはならない。今こそ、抑圧と暴力的問答無用という「古い調べ」は終わらせねばならない。そして、「平和の歌」「自由の調べ」「暴力なき文化の歌」を、民衆が声高らかに歌っていきたい。

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