2017年8月14日 投稿者:赤胴鈴之助 投稿日:2017年 8月14日(月)01時37分43秒 通報 21世紀への選択 ルネサンスの恩人はイスラムの科学と文化 P78 テヘラニアン 身近な生活を豊かにする文化も、イスラムにおいて相当に発達しました。 池田 そうですね。 「アルコール」「アルカリ」「アンモニア」などの科学用語は、アラビア語、またはペルシ ヤ語に起源を有するといわれていますね。 「パジャマ」「コットン」「ソファ」「マガジン」「レモン」「オレンジ」「シロップ」 「チューリップ」などの生活必需品、食品、草花の言葉もそうです。 テヘラニアン ええ。「パラダイス」や「サタン」などの形而上的な概念もそうですね。 その他の面でも、八世紀から九世紀にかけて、アリストテレスなど古代のギリシャ語の 諸テキスト(ぶんけん文献)が・ほとんどといってもいいほど、アラビア語に翻訳されました。 池田 翻訳が、国をあげての宗教的事業として、なされたことがうかがえます。 ギリシャ文明など、古代地中海世界の科学や思想、知識は、そのままヨーロッパに直結した のではなかった。 ゲルマン民族の大移動とそれに続く中世の封建時代のあいだ、ギリシャ・ローマの文明は、 イスラムによって保存され、発展してきました。 テヘラニアン 十一世紀に始まる、「東方」との交流の活性化によって、発達したイスラム文明の成果が、 ヨーロッパにもち込まれたのです。 池田 このときもち込まれたイスラムの科学と文化が、やがてきたるルネサンスに大変重要な 役割を果たしました。 ルネサンスとは文芸復興、すなわち忘れ去られていたギリシャ・ローマの文化を復興す ることでした。復興ということは、それまで衰退していたということです。 ヨーロッパでギリシャ・ローマの文化が衰退していたときに、その多くを保持発展さ せたイスラムは”ルネサンスの恩人”といえるでしょう。 Tweet