投稿者:河内平野 投稿日:2014年 9月17日(水)09時28分2秒 返信・引用

ワイルドスミス氏の作品に『さあ みんな ついておいで!』という絵本がある。

簡単にストーリーお紹介すると――。
ある山の上に、一頭のヤギが住んでいた。ヤギは、山での暮らしに退屈しきっていた。
ある日、ふもとの街から楽しそうな音が聞こえてくる。ヤギはたまらず山をかけ下りた。
途中、それぞれの場所で暮らしていたヒツジや牛、ブタやロバたちまで、次々に誘い、町へ引き連れて行く。

「さあ、みんな、ついておいで!」。
得意げに呼びかけるヤギ。皆が自分についてくるので、自信満々であった。
しかし、このヤギたちの一群は、町の中で次から次へと騒ぎを引き起こす。
そのたびに、人々から追いたてられ、いやがられ、逃げなければならなくなる。
ついに、ヤギが「さあ、みんな、ついておいで」と言っても、もうだれもついていかなくなった。
さすがに、皆、目がさめて、自分の家へと戻っていった。
結局、ヤギはまた独りぼっちになってふたたび山に引きこもる――。

この作品は、何を表現しているのか。ワイルドスミス氏は、こう述べておられる。
「この物語は《盲目的に指導者につき従うと、人はだまされやすく、また不幸にも導かれる》ということを象徴的に示している」と。

多くの示唆を含む、深みのある作品である。
権威や権力に盲目的に従えば、結局、損をし、苦しむのは自分である。
利用されるだけされて、最後はみじめな敗北者となってしまう。

世間の道理でも、これほどに厳しい。仏法の世界においては、なおさらである。
「仏法の偉大さ」を「自分の権威」にすり替え、「わたしのほうに、ついておいで」と誘惑してくる人間に人々がつき従っていったとしても、いつかは必ずバラバラになるしかない。

その結末は、あまりにも目に見えている。あまりにも愚かであり、不幸である。
悪とは妥協してはならない。
正法のため、仏子を守るために戦うところに、菩薩界、仏界の生命が強まっていくのである。
ゆえに福徳も、力も、知恵もぐんぐんわき出でる。
「仏法は勝負」である。
戦ってこそ成仏がある。
勝ってこそ、大歓喜の境涯が開ける。

【山光総会・音楽祭、中国総会、宮崎県総会・合唱祭 平成三年九月八日(大作全集七十八巻)】