投稿者:大仏のグリグリのとこ 投稿日:2016年 7月15日(金)09時20分12秒   通報
阿闍世王に説いたとされる涅槃経には

「父王(ビンバシャラ)が山に鹿狩りに行った時、一頭も狩りができず、
そこにいた仙人が追い払ったと思い込んで臣下に殺させようとした。

その仙人は死ぬ直前に怒りの心を起こし、父王(ビンバシャラ)に
『来世において心と言葉であなたを殺害するだろう』と言った。

それから間もなくしてイダイケ夫人が懐妊した。

仙人の言葉が忘れられない父王は、生まれてくる王子(阿闍世)が、その仙人の恨みを
受け継いだ未生怨(※みしょうおん、生まれる前から恨みを持つ)であることを心配して、

生まれてきたわが子を城の上から投げ捨てたが、阿闍世は指一本を損じただけで死ななかった。

釈尊は阿闍世に『父王は自らその罪による報いを受けただけで、そなたに罪はない』――」

という逸話が記されています。

話は変わりますが、

仏教では根本的な苦悩を四苦(生・老・病・死)とし、さらに
根本的に〝思うようにならないこと〟の四つを加えて八苦としました。

その八苦とは

①愛別離苦(あいべつりく)――愛する者と離別すること
②怨憎会苦(おんぞうえく)――怨み憎んでいる者に会うこと
③求不得苦(ぐふとっく)――求める物が得られないこと
④五蘊盛苦(ごうんじょうく)――五蘊(人間の肉体と精神)が思うようにならないこと

の四つです。これを合わせて四苦八苦ともいいます。

涅槃経に描かれた阿闍世王の逸話を見た時に、一番に浮かんだのが

この言葉(怨憎会苦――怨み憎んでいる者に会うこと)です。