投稿者:大仏のグリグリのとこ 投稿日:2015年12月 6日(日)15時58分57秒   通報

今から三千年前の釈尊の時代の話になりますが、
法華経の会座に集まった釈尊の弟子たちは、その機根において大きく三つに分かれます。

釈尊はこれらの弟子たちに三通りの説法を行いました。
いわゆる「三周の説法」というものです。

三周の説法は「法説周、譬喩説周、因縁説周」の三つですが、
三種類の弟子たちを三周の声聞ともいい、ここでいう声聞とは弟子という意味です。

まずこの三種類(法説周、譬喩説周、因縁説周)を簡単に説明すると、

法説周の弟子とは、 方便品第二で十如実相の法門を説き、
開三顕一を明かされたのを聞いてただちに理解した上根の舎利弗を指します。

譬喩説周の弟子とは、譬喩品第三(三車火宅の譬)信解品第四(長者窮子の譬)薬草喩品第五(三草二木の譬)から
授記品第六にわたって譬喩(たとえ話)を聞いて理解できた迦葉・目連等の中根の弟子です。

因縁説周の弟子とは、 法説・譬喩説で理解できない下根の弟子のために
化城喩品第七で三千塵点劫以来の師弟の宿世の因縁を説きます。

これを聞いてやっと理解できた阿難、富楼那等の弟子をいいます。

法説周の弟子の特徴は、 舎利弗に代表されるように
智慧聡明で法義や論理などの緻密な思索が得意な人といえるでしょう。
また「論理言語」を駆使できる人であるともいえます。

譬喩説周の弟子の特徴は、 譬え話(物語・詩集など)のように何かになぞらえることによって理解できる人で
「詩的言語」に突き動かされる詩人タイプの人といえるかもしれません。

さて、ここで問題になるのは三番目の因縁説周の弟子です。
難しい法義や、詩的世界の感性も乏しいですが、 強い人間関係からくる「実感」を最も大切にする人々であると思います。

しかもこの因縁説周の弟子たちの中には、実に魅力的な人が多い。
女性にも人気が高く、釈尊でも説得できなかった人を味方にしてしまった阿難。
弁舌さわやかで、かつ豪胆な富楼那がいます。