投稿者:まなこ   投稿日:2015年 9月13日(日)19時16分41秒     通報
■ 「空」とは何か

名誉会長: 「大宇宙の十界」についてだね。戸田先生は、よくラジオの電波を譬えにして、「空」ということを教えてくださった。これは諸君も聞いたことがあるでしょう。

遠藤: はい。一つの部屋に、いろいろな放送局から発信される電波がきている。海外からの電波もある。あるといっても、目に見えない。では、ないかというと、ラジオを置いて、周波数を合わせれば、ちゃんと受信できる。
では、そんな部屋に、たくさんの電波がきていて、部屋が狭くはないかと。いや、狭くない。電波と電波が互いに邪魔し合うこともない。
大宇宙の十界も、このような状態で存在しているという譬えですね。

名誉会長: そう。ただこれは、あくまで譬えであって、電波の存在する状態が、そのまま「空」であるという意味ではありません。
この大宇宙において、十界のそれぞれの界は重なっているのでもなければ、並んでいるのでもない。どこか特定の場所に固まっているのでもない。全宇宙にとけこんでいて、縁に応じて顕現してくるのです。これは、個人の十界についても同様です。

斉藤: たとえば私たちの生命に地獄界が現れているときには、生命のどこをさがしても、地獄界以外はありません。全生命が苦しみにのたうちまわり、そこには天界がまざっていたりはしません。
しかし、次の瞬間には、苦しみがパッと消えて、天界が現れるかもしれない。すると、この天界はどこから来たのか。自分以外の他のところから来たわけではないことは確かです。地獄界に苦しんでいたとき、天界は「空」の状態にあったことになります。
十界のうち一界が出ているとき —- 常に一界しか出ていないわけですが —- それ以外の九界は空の状態に冥伏している。それが縁にふれて「仮」として顕在化してくる。こういうことになります。

名誉会長: 「空」というのは難しいね。頑張って、もう少し探求してみよう。「十界」とは、くわしくは「十法界」という。「法界」とは、どんな意味になるだろうか。

須田: 「法界」とは、わかりやすく言えば、森羅万象の世界すなわち全宇宙のことです。法界の「法」とは、一切の現象であり、何らかの因果によって起きます。この因果に、地獄界から仏界までの十種の因果があるわけです。
法界の「界」とは、境界などと言うように、他とは区別された領域を指します。ですから「十法界」とは、十種の因によって生じた十種の法界 —- 十種の宇宙ということになります。

名誉会長: なるほど。そうすると、十の宇宙があるのだろうか。

遠藤: 宇宙は一つのはずです。法界は「一法界」だけで全宇宙を表しています。

名誉会長: すると「十法界」とは、一法界の十倍の宇宙ということではないわけだね。

遠藤: そうなります。やはり、一つの法界(一界)に十法界(十界)が具わっていると言う以外にありません。