投稿者:まなこ   投稿日:2015年 8月 5日(水)18時17分39秒     通報
■ 四安楽行

名誉会長: これまでの話を前提にして、四安楽行の内容を少し見てみよう。

須田: はい。まず「身安楽行」です。ここでは、菩薩の「行処」すなわち「どう振る舞うべきか」と、「親近処」すなわち「人との交際はどうすべきか」が説かれます。
「行処」とは「忍耐強く、柔和で、乱暴でなく、おそれおののくことなく、何ものにもとらわれず、物事をありのままに見て、みだりに決めつけることがない」と。これらは一つ一つ大事なことですね。
「親近処」では、誘惑されて仏道の志を失いそうなところへは近づくなと言っています。権力者のところや遊興の場所に行くなとか。男性は女性に、やさしい心をもって、法を説くなとか。そして、それらの根本姿勢を「一切は空であるから、有であるとか無であるとか、とらわれの心で見てはいけない」と説いています。

斉藤: 大まかに言って、人間としての振る舞い、常識やエチケットを教えています。“悪縁”に近づかず、“偏見や邪見”などにとらわれるなと、用心を教えているのではないでしょうか。

須田: 次に「口安楽行」。これは、「口のきき方」についての注意です。経典や法師の悪口を言ってはいけない。他人の、ここが好きとか嫌いとか、ここがいいとか悪いとか言ってはいけない。名前をあげて人をけなしたり、ほめたりしてはいけない、などです。まさに摂受ですね。

遠藤: ただ、あくまで法を説くにあたっては「方便を用いて皆を発心させ、次第次第に仏道に入らせよ」「慈しみの心をもって説け」「昼も夜も常に、無上道の教えを説き、多くの因縁、譬喩を語って、衆生を歓喜させよ」「質問を受けたら、小乗の教えではなく、大乗の教えによって答え、一切のありのままを知る智慧を得させよ」「多くの人々が仏道を成就することを、心に念ぜよ」等と強調しています。
これらは、今でも通じる仏法のリーダーの振る舞いを教えたものと考えてよいのではないでしょうか。

名誉会長: “何かを与える”のがリーダーです。ひとことでもいい。「お疲れのようですね。お忙しいんですか」「ご主人は、お元気ですか。かぜをひかれないよう温かくしてくださいいね」「いつも、素晴らしい会場を使わせていただいて、ありがとう」。
たとえば、せんべいの一枚、みかんの一個でもあれば、小さい袋か何かに入れてね(笑い)、「よろしかったら、帰りにでも召し上がってください」と。何でもいいんです。どうすれば皆が元気になるか、どうすれば希望を与えられるか、安心を与えられるか、つねに考えていくのがリーダーです。

須田: 次は「意安楽行」です。ここでは「法華経を説くにあたっては、妬み、怒り、驕り、へつらい、いつわりの心を捨てよ」と教えています。そして「仏法を学ぼうとする人をバカにしたり、悩ませたり、疑いを起こさせてはいけない」「法を弘める人を尊敬しなくてはならない」と言っています。

斉藤: これも大事なリーダーの姿勢ですね。

名誉会長: 特に注目したいのは、「法を説く柏手が、深く法を愛しているから、その人には多く説き、そうでない人には少なく説く、ということがあってはならない」と注意している点です。
現代に広げて言えば、仕事や子育て、家族の介護などで忙しくて、なかなか活動に参加できない人がいる。また、自分では信仰しているけれども、何らかの理由で組織に出づらくなってしまう場合もある。そういう方々をこそリーダーは包容し、親身になって話を聞き、励ましていきなさいということになるでしょう。

須田: 最後は「誓願安楽行」です。法華経を受持する者は、人々に大慈大悲の、心を起こし、次のように思いなさいと。「ああ、この人は、仏が、この人にふさわしいように法を説いてくださっているのを、聞かず、知らず、信ぜず、理解しようともしないけれども、私が最高の境地を得た時、私は、どこにいようとも、この人を仏法から離れないようにさせよう」。

斉藤: どんなに“わからずや”の人でも(笑い)、絶対に見捨ててはならないということでしょうか。