投稿者:まなこ   投稿日:2015年 7月28日(火)18時58分13秒     通報
§提婆達多品§(下)
■ 竜女成仏 —- 大いなる「女性の人権宣言」

遠藤: 今回は提婆達多品(第十二章)の後半、竜女の成仏について、見ていきたいと思います。

須田: 竜女は、女人成仏の典型として有名ですね。

名誉会長: 女性の成仏は、法華経の重要なテーマの一つです。それにしても、こうして男性ばかりが集まって、女性のことを論ずるのも、大変な挑戦だね(笑い)。

斉藤: はい。後で婦人部・女子部の方々に叱られないよう、しっかり学んでいきたいと思います。

遠藤: 婦人部の方の中には、「女性が成仏できるかどうかではなくて、仏道修行をさぼりがちな男性が成仏できるかどうかのほうが問題よ!」(爆笑)と鋭い指摘をされる人もいます。

名誉会長: 皆、ふだんから、女性陣の求道心には圧倒されているようだね(爆笑)。先日、会談したジプチの大統領(ハッサン・グレド・アプティドン大統領)が言っておられた。「将来は、男性と女性の戦争になるかもしれません。そうしたら私は、女性に味方します」と。
「私も同じです」と、すかさず賛同しました(笑い)。このことを、ロシアのヤコプレフ博士夫妻にお話しした。すると博士は「私は戦争になる前から白旗をあげて『降参』です」(爆笑)。「男性が女性にかなうわけがありません。なぜなら、この50年間の経験上、妻にはいつも負けてばかりなのです」と(大笑い)。
ともに乗り越えてこられた50年の人生の春秋 —- 素晴らしいご夫婦です。
じつは、提婆達多品の竜女の話は、一面から言えば、“威張っている男性が、女性に負けた”“智慧第一の舎利弗も、竜女の信心にはかなわなかった”という物語なのです。
また、女性を差別する思想に対して、実証をもって、それを打ち破った「大いなる人権宣言」なのです。女性の成仏については、少々誤解もあるところなので、正確に把握しておこう。
■ 「即身成仏の現証」の衝撃

須田: まず提婆品での流れを見ておきます。
提婆達多への授記が終わると、多宝如来についてきた智積菩薩が本土(宝浄世界)に帰ろうとします。智積とは“智慧が積み重なっている”という意味ですから、頭がよくて察しが早かったのでしょう。悪人成仏を聞いて“令法久住(釈尊の入滅後、法華経を弘めること)の勧めは、もう終わった”と思ったのかもしれません。

遠藤: しかし、早とちりだった(笑い)。釈尊の説法は、まだ終わっていませんでした。

名誉会長: そう。智積にもわかっていないことがあった。それが「即身成仏」だね。

須田: はい。そこで釈尊は智積を引きとめ、「文殊師利菩薩と妙法について対話をしてから帰ったらどうか」と提案します。すると、大海の竜宮で弘教していた文殊師利菩薩が、教化した多くの菩薩たちを引き連れて虚空会に出現します。
そこで智積と文殊の対話が始まります。まず、智積が文殊に「あなたは竜宮でどのくらいの衆生を化導してきたのか」と尋ねます。文殊は「竜宮おいて、もっぱら法華経を説いて無量の衆生を化導してきた」と言い、さらに「竜王の娘であるある八歳の竜女が法華経を聞いて即座に悟りを得た」と語ります。
しかし、智積はそれを信じようとしません。仏の悟りは菩薩が無量劫の間、難行苦行を重ねて初めて得られるものであって、竜女が短い時間に成仏したなどということは、到底信じられないというのです。