投稿者:まなこ   投稿日:2015年 7月 5日(日)10時46分22秒     通報
■ 個性を伸ばす「智慧即慈悲」を

斉藤: いよいよ、二〇〇五年、創立七十五周年への大前進が始まりました。

名誉会長: 二〇〇五年の世界は、どうなっているか —- こんな未来予想図を描いた子どもたちがいた。
「今、二〇〇五年だとすると、地球は、半分は緑で、半分は真っ黒になっている。緑の世界では、子どもたちが遊んでいる。昼も夜も。眠る隙もないぐらい。真っ黒の世界は、空気も何もかも汚れていて、作物は何も育たない。そこではロボットたちが、遊べたらなあと思ってる。
真っ黒の地球と緑の地球の間には壁があって、汚染が移るのを防いでいる。それは“正義の壁”と呼ばれているんだ。科学者たちが言っているよ。あと十年以内に、別の新しい壁を作らなくてはいけない。そうでなければ、つきに移り住むしかないって」
「二〇〇五年になったら、私たちは戦争にあうの。そして政治家の人たちが変わってしまって、私たちの生活を思い通りにしようとする。この人と結婚しなさい、この仕事につきなさいと言ってくる。でもきっと、こうなるわ。男の人たちが家事や料理をするようになって、女の人たちは会社から家に帰ると、お気に入りの椅子でテレビを見るというふうに —- 」
「みんなの心が優しくなるといいね。世界中から銃が消え、戦争がなくなるよ。それから火星人と友達になるんだ」
実は、これは十五年以上前、アメリカの十代前後の子どもたちがインタビューに答えて語ったものです。先日、エリーゼ・ボールディング女史が贈ってくださったご著作『ザ・フューチャー(未来)』に紹介されていた。亡くなられたご主人(ケネス・ボールディング博士)との共著です。

遠藤: 女史は、平和、教育、女性問題など幅広い研究で知られる世界的な学者ですね。ボストン二十一世紀センターによる「世界市民人道賞」の第一回受賞者です。

須田: ご主人のケネス氏は、著名な経済学者で、「宇宙船・地球号」という考え方を提唱された平和研究の創始者の一人です。生前、奥様とともに、池田先生の「SGIの日」記念提言(一九九二年、「希望と共生のルネサンスを」)に、絶大な共感を送っておられたことを覚えています。

斉藤: 子どもたちの言葉には、“ほほえましい”というだけではすまされない、大人社会への警鐘が含まれている気がします。

遠藤: そうですね。子どもたちは子どもたちなりに、地球の未来を考えています。むしろ、生命にとって何が善で何が悪かを素直に感じているから、大人たちが思いもよらない斬新な発想ができるのでしょう。

名誉会長: インタビューをしたエリーゼ女史は、かねてから、子どもたちは未来社会を建設しゆく「共同参加者」だと主張されている。子どもたちが望むように社会環境を整えていけば、子どもたちだけでなく、大人たちの生活も豊かになるはずだと。 そして、こう強調されている。
「私たちは、自らの生命をコントロールしなくてはなりません。なぜなら私たちの中には、新しい現実を生みゆく“種”があって、その“種”は、私たちの生命が、真に私たちのものにならないと生長しないからです。その“種”から生まれるのは、喜びです。それは愛であり、正義であり、自由であり、平和であり、豊かさです」一人一人の生命にある“喜びの種”を開かせたいという心です。
法華経は、すべての人々に、仏性という“無上の種”を開かせることを説いている。そういう「分け隔てない仏の慈悲」を、譬えによって描いたのが薬草喩品(第五章)です。 この薬草喩品を学んでいこう。