投稿者:信濃町の人びと 投稿日:2017年 8月 8日(火)14時07分13秒   通報
池田大作全集76巻
海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)⑤

■ホメロスの「黄金の世界」を発掘

四十代になり、いよいよ彼は、少年時代の夢の実現に取りかかった。商売からすべて引退し、世界一周の旅に出た。なおこのとき、明治維新直前の日本にも立ち寄り、横浜と江戸を訪れている。

四十六歳の時、彼はついに「ホメロスの国」に足を踏み入れる。「オデュッセウス」の住んだ島とされるイタカ島(ギリシャ本土に近い、イオニア海の島)で調査を始めた。そして六十八歳の死去まで二十年間、トルコのトロイをはじめ各地で、新発見に次ぐ新発見を続けた。その模様は、まことに劇的で面白いが、本日は省略させていただく。

結果として、彼は「トロイ文明」と「ミケーネ文明」という古代の二大文明の実在を証明。近代考古学の″夜明け″をもたらしたのである。

彼の″導きの星″は、ただホメロス一人だった。「ホメロスはこう言っている。だから、必ずここにこういうものが埋まっているはずだ」――この確信から彼は調査し、掘った。

それまでの定説など「ホメロスと矛盾する」と言って無視した。そして、ほとんど彼の言うとおりになった。

少年時代、胸おどらせて読んだ英雄たちの舞台が、徐々に姿を現してくる喜び! 不屈の信念、渾身の情熱、たゆみなき努力。それらを持続しぬいた者のみが味わえる″無上の満足″であった。
こうして全世界の人々の前に「ホメロスの世界」が黄金のきらめきとともに出現した。伝説はよみがえった。まさに歴史をぬりかえる大事件だった。

その一方、彼の成功を嫉み、「素人のくせに」と批判する学者も後を絶たなかった。しかし、「事実」ほど雄弁なものはない。しだいに理解者は広がっていった。

ある人は言った。「彼の成功は、偶然ではない。なぜなら、彼は成功するまで掘り続けただろうから」と。

また、ある人は、彼は偉人だけがもつ特性をもっていた、と。すなわち「自分自身のこと」まったく考えず、ただ「自分の目的のこと」だけを考え、集中する人間だったと証言している。事実、彼は、発掘した無数の財宝も公的機関に寄贈してしまった。

「生きている間は、休もうとしなかった人」とも評された。旅先のナポリ(イタリア)で、その波瀾万丈の生涯を閉じるまで、病身をおして研究と仕事(報告書の作成もすべて自分で行った)に没頭した。

今、彼は生涯をかけて愛した「ホメロスの国」すなわちギリシャのアテネで、安らかに眠っている――。

若き日の「誓い」を、生涯、貫ける人は偉大である。幸福である。

私どもには「広宣流布」という最高の「誓い」がある。そして自分には自分の、尊き「使命」がある。世界は広い。私どもの未来も洋々と開けている。

この広大な世界のなかに、また二十一世紀という新世紀のなかに、自分だけが、その扉を開けられる「黄金の世界」が待っている。人類のために、光を放つ日を待っている。

それは何か。決めるのも、見つけるのも自分自身である。

私は入信して本年で四十四年。当時は、だれ人も想像もしなかった「世界広宣流布」という、黄金の世界の扉を大きく開けることができた。何の悔いもない。

皆さまも、身近な一歩また一歩の努力を重ねて、みずからの黄金の″夢″を立派に掘り出し、燦然と世界に示していただきたい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
池田大作全集76巻
海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)①
http://6027.teacup.com/situation/bbs/72076

海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)②
http://6027.teacup.com/situation/bbs/72139

池田大作全集76巻
海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)③
http://6027.teacup.com/situation/bbs/72366

池田大作全集76巻
海外派遣メンバー協議会 (1991年2月14日)④
http://6027.teacup.com/situation/bbs/72559