投稿者:まなこ 投稿日:2016年12月27日(火)10時23分21秒   通報

【池田】 たしかに、最近頻発している大災害をみると、そうした自然対人間の力関係の逆転からもたらされたとしか思えないような現象が、多く見受けられます。
これに対する説明の仕方は、もちろん、いろいろあります。たとえば、そうした異変には、太陽の黒点や海水の温度の変化が関係しているかもしれないという推測もあります。そして、それは事実であるかもしれません。太陽の黒点が、地球の気圧の配置を異常にし、そこから気候の異変や災害が引き起こされるというのは、ありうることです。
しかし、それらの変動、災害に、何らかの形で人間の営みが関係しているのではないかと私が推測するのは、次のような理由からです。つまり、いかに表面的には自然独自のものとみられる現象であっても、より本質的な観点からみるならば、人間を含めた生命世界全体の働きかけがあって、その原因のいくつかを形づくっている、と考えられるからなのです。もし、この推測が正しいとすれば、最近みられる災害の多くは、間接的には人間の営みが関係しており、したがって天災の形をとって現われた人災であるということになります。
そうした、人間の行為が関わり合っていると推測される、自然界の異常現象の例は、いくつかあげることができます。たとえば、都市地域では、炭酸ガスの温室効果によって、気温が上昇しているところがあります。逆に、微小浮遊物が太陽の光をさえぎって、冷却化現象が起きているところもあります。また、石油廃棄物が海洋に投棄されることによって海水の蒸発が阻害され、それが気候に変化をもたらした事実も確認されています。これらの異常は、それだけにとどまるものと考えてはならないでしょう。こうしたいくつかの異常が重なり合って、地球全体の異常化をきたす可能性は十分にありうるからです。もしこれを見過ごしておくならば、地球を破滅に追い込むことにさえなりかねません。
地球は、われわれ人間が生存を託している宇宙のオァシスです。そのかけがえのない地球を、私たちは何としても破滅から救わなければなりません。そのためには、きびしく人間の行為が自然の運行、自然界の調和に及ぼす影響性を考え、少しでも危険性をはらむものは、厳重に規制していく必要があると思うのです。

【トインビー】 われわれは、人間が自分の環境をどの程度支配し、改変しているかについて、たぶんまだ過小評価しているのでしょう。御指摘の点は、私も同じように考えています。つまり、最近の環境的災害のなかには、明らかに人災として確認できるものを別にしても、他にもきっと人間による災害があるはずです。それらは、人間が災害源になっているという確証がまだつかめていなくとも、おそらくは人災なのでしょう。