投稿者:まなこ 投稿日:2016年12月26日(月)09時35分54秒   通報

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◆ 2 天災と人災

【池田】 ここ数年間に、世界各地でさまざまな大きな自然災害が頻発しています。一部の学者の説によると、これらは人類が過去数千年の間に、まれにしか体験しなかったほどのものであるということです。
一部の例をあげましても、一九六八年にはイタリアの大洪水、中国や韓国での大干害がありました。翌六九年には世界的な寒波が襲いかかり、アメリカやヨーロッパ各地では、夏冬ともに平均気温が三度以上も低下したと聞いております。また、一九七〇年には、四十九度にものぼる熱風が、インドやエジプトに吹き荒れ、多数の死者を出したと伝えられました。
日本も例外ではありません。一九七一年の夏、沖縄地方は長期にわたって水不足に悩まされました。一方、北海道や東北地方では、気象観測所開設以来の涼しさを記録し、これが冷害となって稲作に大損害を与えました。また同年八月に日本を襲った台風は、かつてなかったような変わった移動のしかたをしました。
気象学者によりますと、この数年間のこうした災害は、日本やアメリカ、ヨーロッパなどを覆った、何万年ぶりかの異常な気圧配置に原因があるとのことです。しかも、この気圧の変動は、地球全体の大気の動きにも影響して、そのためか、一時的ではありましょうが、地球の自転速度が一万分の三・五秒も速くなったことが観測されているというのです。
こうした異常現象の原因は、いろいろと究明されていますが、人間の自然破壊がその一因となっているとみる人々も少なくありません。私も、それはありうることだと考えています。

【トインビー】 人類は、われわれの記憶にあるつい最近の時代に入るまで、じつは人間としての生活を営み始める以前とほとんど変わらないくらい、まったく大自然のなすがままにされてきたのです。人間と自然の力関係が逆転したのは、ほんのごく最近のことであり、したがって、この事実はなかなか認識されがたいのです。まして、われわれがこの力関係の逆転という新たな状況に対応して、物事を感じ、考え、行動するということは、なおさら困難なわけです。