投稿者:解説者   投稿日:2015年 9月10日(木)16時38分58秒     通報
昨年5月のものですが、安保関連法案の経緯を確認する為にも
重要な記事です。

【かすむ航路 公明党結党50年(下)】行使容認で避けたい決裂 最後は「やむを得ない」?   (2014.5.1 )

■「情報戦」仕掛け

今年3月、永田町にある情報がまことしやかに駆けめぐった。官房長官の菅義偉が1月、創価学会の副会長、佐藤浩とひそかに接触したというものだった。集団的自衛権の行使容認を可能にする憲法解釈見直しに慎重な公明党を介さず、支持母体の創価学会に探りを入れたとされ「菅氏が行使容認は急がないと手形を切った」といった話が飛び交った。

公明党側が菅-佐藤というパイプを利用して「情報戦を仕掛けてきた」(官邸筋)とされる。だが、首相、安倍晋三の姿勢は今も変わっていない。

安倍は、行使容認を可能にする憲法解釈見直しに関する与党協議を5月下旬ごろから始め、秋の臨時国会で自衛隊法など関連5法の先行改正を視野に入れる。そうした「年内決着」のシナリオは、行使容認の論議を来春の統一地方選以降に先送りしたい党代表の山口那津男にとって「最悪のタイミング」(党幹部)となる。

「なぜ変えるか。どう変えるか。変えた影響が同盟国の米国、近隣諸国にどういう影響をもたらすのか。慎重に広く議論し、国民の理解を得る必要がある」

政権の“ブレーキ役”として定番のフレーズを繰り返すのはそのためだ。4月23日夜の民放BS番組でもこう強調した。

「経済再生や震災復興といった優先度の高い政策を政府はやるべきだ。それを差し置いて違うテーマで隙間風が吹き、連立が分裂するのは国民が許さない」

■トップは水と油

もともと、安倍と山口は「水と油」(公明党幹部)。新人議員時代に自費で中東諸国やカンボジアを視察し、防衛政務次官も務めた山口には、安倍の行使容認への積極姿勢は理念先行で、リアリティーがないように映る。「現場に派遣される自衛官の立場になって考えないといけない」と周囲に漏らす。

両トップが直接、本音をぶつけ合うことが難しい中、自民党は安倍の意向を受け、あの手この手で公明党を揺さぶっている。

4月3日午後。国会にほど近いホテルに、山口と自民党副総裁の高村正彦ら与党幹部6人がひそかに集まり、行使容認をめぐり激論を交わした。ところが「極秘会談」は、その日のうちに漏れてしまった。

「自民党が意図的に漏らし、行使容認の流れをつくろうとしている」

公明サイドの疑心暗鬼は頂点に達した。自民党幹部に同じメンバーでの協議の打ち切りを通告した。しかし、高村は集団的自衛権とは別のテーマで公明党にジャブを繰り出した。

自公両党の税制に関するベテラン議員が顔をそろえた4月22日の与党税制協議会。食料品など生活必需品の消費税率を抑える軽減税率の議論だったが、高村は集団的自衛権の行使容認の範囲を必要最小限に抑える「限定容認論」にひっかけて、こう指摘した。

「対象品目を『必要最低限』に絞る軽減税率って集団的自衛権の限定容認(と同じ)ですね」

■組織強化の1年

公明党は今年11月に結党50年、自民党と連立を組んでから15年の節目を迎える。来春の統一地方選での「完勝」に向けて本格的な準備に入ったところだ。同時に、名誉会長の池田大作が率いる支持母体の創価学会も来年11月に創立85年を控え、組織強化に余念がない。党の大事な節目の年に政府・自民党と政策課題で決裂し、“協議離婚”するような展開は何としても避けたいのが本音だ。

そうした中で行使容認をめぐる攻防が本格化する。「官邸サイドは公明党が妥協するとみているが、それは甘い」。公明党の幹部はそう強がるが、党関係者は冷ややかな見方を示す。

「連立を離脱したら本当に孤立する。最後はいつもの決まり文句、『やむを得ない』で終わるだろう」(敬