投稿者:信濃町の人びと   投稿日:2015年 4月 8日(水)13時11分52秒     通報
信越代表者会議(2008.8.24)長野研修道場より

学問であれ、文学であれ、スポーツであれ、見事な花を咲かせゆく、大いなる力は「師匠」である。

ドイツの有名な出版人であるコッタは、文豪ゲーテに伝えた。
「敬愛する導師よ、あなたの存在は、あらゆる面にわたって、さまざまな仕方で、あなたの友人たち、あなたの同時代人たちに良い影響を及ぼしております」(ジークフリート・ウンゼル卜著、西山力也ほか訳『ゲーテと出版者』法政大学出版局)

よき師の存在は、社会の針路を、平和へ、幸福へと照らし出す。 コッタは、ゲーテの全集を出版した。 「私は良質の書籍以外のものは出版しないでしょう」(前掲書)とコッタは述べる。
活字文化を担う自負と誇りがあふれていた。 光栄なことに、私の全集は、全150巻となる予定である。<『池田大作全集』が完結すると、ゲーテ全集143巻(ワイマール版)を超える>

これこそ、戦後の最大の苦境のなかで、わが師・戸田先生が、万般の学問の核心を打ち込んでくださったおかげにほかならない。 書くことは戦いだ。 広布のために東奔西走し、私の執筆は深夜に及んだ。とくに小説『人間革命』『新・人間革命』など、日々の連載は大変である。疲れて筆が動かず、妻に口述筆記してもらうことも、たびたびであった。人知れぬペンの闘争を、夫婦して続けてきた。

戸田先生が生きておられたならば、「頑張ったな」と、ほめてくださったであろう。 その原稿料も、印税も、広布のため、教育のために捧げてきた。
妻も、「それが正しいと思います。戸田先生、牧口先生も、喜んでくださるでしょう。何より学会員が喜ぶと思います」と凛として賛成してくれた。私事であるが、未来の指導者のために語り残しておきたい。

イギリスの歴史家カーライルは、師と仰ぎ、精神の父と敬うゲーテに対して、こう書き送っている。
「もし私が暗黒から救われて、或る程度の光明に達したとすれば、また私が自分自身について、私の義務や使命についていくらか知るところがあるとすれば、それは他のいかなる事情よりも、あなたの作品の研究のお蔭なのです。私は、弟子が師に対する感情を以って、そればかりでなく息子が精神的父親に対する感情を以って、常に感謝と畏敬とを、誰によりも多くあなたに捧げねばなりません」(山崎八郎訳『ゲーテ=カーライル往復書簡』岩波文庫)

師匠がいるから、勝利の軌道を歩める。 師匠がいるから、増上慢を打ち破れる。 師匠がいるから、人間革命できるのだ。 仏法の師匠は、正しい法を教え、弘める。師弟の破壊は、仏法の破壊だ。障魔は、卑劣にも、師に襲いかかる。その師を護らずして、何の弟子か。これが根幹だ。これが主であり、他の問題は従なのだ。魂の支柱が腐れば、正義の城は崩れてしまう。 時流がどうあれ、社会がどう動こうと、師弟という柱は、ゆるがせにしてはならない。