投稿者:河内平野   投稿日:2015年 3月20日(金)14時50分17秒     通報
ちょうど今から百年前の一八九八年、彼は「オーロール(夜明け)」という新聞に、大統領への公開状を発表する。
大きく印刷された見出しは「われ、弾劾す!」であった。
大言論戦を展開したのである。

この闘争宣言は、権力の弾圧を呼び起こした。ゾラ個人への中傷の嵐が巻き起こったのである。

しかし、彼は動じなかった。くじけなかった。
偉い人は動じない。ヨーロッパのことわざに「深い川は静かに流れる」と。
また「臆病な犬ほど、よく吠える」という。

ふだんは静かに、どっしりとしている人物ほど、いざ立ち上がったら、とことん戦い続ける。
口先ばかり達者な人間は、いざというときに弱いものだ。

迫害にも動ぜず、ゾラは叫び続けた。知識人に、庶民に、そして青年に訴え続けた。
やがてゾラに応え、二十代を中心とした青年が、学生が、そして人々が立ち上がったのである。

ゾラが訴え続けた努力は、事件の再審請求の署名として結実し、世論を高めていった。
そして、ゾラの死の四年後、ドレフュスの無罪が確定した。歴史的な勝利であった。
ゾラの勝利であった。この闘争は、「人権の王者」の闘争として、今も語り継がれている。

《「新世紀の勝利」は諸君に託す》

信じられるのは青年である。年寄りの多くは、ずるく、臆病になり、要領ばかり使うようになる。

戸田先生は、おっしゃっていた。
「第三代会長は、青年部に渡す。牧口門下には、渡しません。なぜかといえば、老人だからです」と。

私も、戸田先生と同じ気持ちである。二十一世紀は、青年に託す以外にない。

ゾラは、戦いを開始するにあたって、まっ先に、青年に呼びかけた。
フランスの青年部が贈ってくださった本は、それを出版したものである。
(『青年への手紙――ユマニテ〈人間性〉・真実・正義 ドレフュス事件に寄せて』一八九七年刊)

ゾラは言う。
「おお青年よ、若き君たちを待っている偉大な使命を思い出してくれ!
終焉を迎えつつある今世紀がもたらした『真実』と『正義』の課題を、来るべき新世紀が解決してくれるであろうと、
我々は深く確信している。そして、この新世紀の土台を築くのは、若き君たちなのだ!」

「青年よ、若き君たちよ! 常に正義とともに立て! 若き君たちの胸中から、正義が消えうせてしまえば、
その行く末は、社会の破滅である。『正義』とは、単なる社会規範としての法律を言うのではない。
むろん法律は守るべきだ。しかし、もっと崇高なる正義があることを、忘れないでくれたまえ!」
(稲葉三千男『ドレフュス事件とエミール・ゾラ』創風社。以下、参照)

私たちの精神も同じである。
良き社会人として生きながら、妙法という最高の「正義」を広めきっていく。
それが広宣流布である。「正義」の炎が胸中に燃えている人を「青年」と呼ぶ。