投稿者:信濃町の人びと   投稿日:2015年 3月 2日(月)12時47分40秒     通報
青春対話 (64) 人間革命と広宣流布

この一年間、私たちが、いかに生きゆくべきか、縦横無尽に教えていただきました。高等部の皆にとっても、一生の原点になったと信じます。本当にありがとうございます。そこで、今回は、いちばん、大切な「人間革命」そして「広宣流布」について、うかがいたいと思います。
池田先生の大河小説『人間革命』の「はじめに」の一節は有名です。
「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」
これは小説の主題であると同時に、池田先生の人生の歩みそのものだと思います。
「人間革命」――自分を革命する。そこから全部が変わっていきます。
でも、人間革命といっても、一体、どうなることなのか、ピンとこないという声もあります。
「人間革命」とは、より高く、深く、広いものへの努力
池田 「人間革命」といっても、特別なことではない。たとえば、少年が、まったく勉強しないで遊んでばかりいたのに、「よし、勉強しよう」「将来のために努力しよう」と決意し、取り組んだ時、その少年の人間革命です。
お母さんが、今の一家の幸せだけにとらわれて、これでよし、と思っていたのが、「このまま一生涯、幸せが続くかどうかわからない。もっと壊れない幸福を求めよう」と、信仰をもって一家を支えていくようになるのも、お母さんの人間革命です。
お父さんが、自分だけ・家族だけ・友人だけという世界から、もう一歩脱却して、病める人・苦しむ人に慈愛の手を差しのべ、どのように幸福の人間道を歩ませてあげられるか、という運動をするようになるのも、お父さんの人間革命です。
つまり、平凡から大きく目を開き、より高い、より深い、より広いものへ努力し、献身していく行動を人間革命というのです。

「自分は意志が弱くてダメだ」

―― 一歩強い自分になるということでしょうか。

池田 そうです。その「一歩」が大事なんです。一歩、前へ進むのか、立ち止まったまま「これでいい」と思うのか。それで人生は全部、決まってしまう。

―― 九州女子高等部長が語っていました。
「音楽科に通うあるメンバーは、人間関係に悩み、授業を休みがちでした。それが、題目をあげるようになって、きちんと通えるように変わったそうです。友人からも『ピアノ、うまくなったね』と言われ、母親とも仲良くなれた。そして感謝の気持ちがもてるようになったといいます。私自身、この信心のおかげで、『人のことを祈れる自分』になれたことが、いちばん、うれしいんです」と。
しかし、その一方で、「自分は意志が弱くて何度、決意しても、くじけてしまう」「自分なんか、とても人間革命できない」と言う人もいます。

池田 それでも、かまわない。はじめから立派なら、人間革命しがいがない。はじめは、どうしようもないように見えた人が、信仰によって、大きく変わってこそ、多くの人に希望を与えることもできるのです。
また、苦しくて苦しくてならない時こそ、行き詰まりきった時こそ、大きく人間革命できるチャンスなのです。
すぐに、くじけるのならば、くじけるたびに、また決意すればいい。「今度こそは」「今度こそは」と、もがきながら前進する人が、必ず人間革命できるのです。

―― よくわかりました。

日々をあくせくしているうちに

池田 もう一つの次元から言うと、人間の世界は、個性・癖・宿命・血縁等、いろいろなことが複雑にからみあっている。それらで、がんじがらめになって、なかなか抜け出せない。目先の小さな悩みにとらわれ、日々をあくせくしているうちに、人生は、あっという間に終わってしまう。
六道輪廻で生涯を終わるのが、ふつうなのです。
しかし、それを突き破って菩薩界・仏界に達する行動、つまり、慈悲の行動と振る舞いをしていこうというのが、行動革命であり、人間革命です。
みんなの身近なことでいえば、受験がある。もうそれだけで、世界はすべてという気になるかもしれない。その時、目の前に悩んでいる友達がいる。自分は受験だから、といって、無視すれば、それは「六道輪廻」。その時、ここで声をかけなければ一生後悔するかもしれないと、「一緒に頑張ろうよ」と励ましてあげれば菩薩界の生き方です。
これが一家、一国、世界へと広がった時、偉大なる平和への無血革命となる。

―― 六道輪廻と言われましたが、たしかに、今の社会を見ていると、その通りだと思います。餓鬼界、畜生界のような社会です。人生の「いい生き方の見本」があまりにも少ない。ニュースも、政治家や財界人とか、いわゆる″偉い人″の悪事は数えきれません。
しかし、だからといって、制度だけをいじくっても、悪いやつは、もっと巧妙に悪事を働くと思うんです。根本から、人間から変えないとだめだと思います。

「人間革命」こそ21世紀のキーワード

池田 革命にも、いろいろある。政治革命、経済革命、産業革命、科学革命、芸術の革命、流通や通信の革命その他、さまざまです。それらはそれらなりに、意義があり、必要な場合もある。しかし、何を変えても、一切を動かしている「人間」そのものが無慈悲で、利己主義のままでは、世の中がよくなるわけがない。だから人間革命というのはいちばん、根本の革命であり、人類にとっていちばん、必要な革命なのです。
戦争直後、東大の総長(南原繁氏)が「人間革命しなければならない」と言ったことは有名です。ペッチェイ博士も、「人間変革・人間蘇生・人間復興」が必要と述べていた。世界の多くの知識人は、皆、ここにたどり着いている。

―― 先日、先生と対談されたアマゾンの詩人チアゴ・デ・メロさんも「『詩人としてもはや感動することはない』と思っていたのに、(池田先生の)『人間革命』という思想に触れた時は、何十年ぶりの感動でした」と語っておられました。(一九九七年四月)

池田 これからの世界のいちばんの焦点です。人生観・社会観・平和観等々、すべて新しい善の方向にもっていける精神そのものが人間革命なのです。「人間革命」は、二十一世紀のキーワードであると私は信じている。

―― ふつうに成長していくのと、人間革命とは、どう違うのでしょうか。

池田 「革命」は英語で「リボリューション」。「ひっくり返す」という意味です。急激な変化を意味している。
人間が少しずつ、年とともに成長するのは自然の流れです。それを一歩、越えて、急速に善の方向に変わっていくのが「人間革命」です。どんどん、よくなる。また一生涯、永遠に、成長していける。「ここまで」という行き詰まりがない。そのためのエンジンとなり、原動力となるのが信仰です。