投稿者:河内平野  投稿日:2014年11月23日(日)09時53分45秒    通報
そのほか浄財界では、地上に残った家族や友人が祈ってくれた分だけ、
早く罪を浄められるとするなど、仏教の「追善」を志向するような考え方もある。

そして「地獄界」行きと「浄罪界」行きに分かれるのは、
死ぬ前に心から懺悔するかどうかで決まるというのも興味深い。

さらに「天堂界」では、たくさんある諸天のうち、それぞれの「天」で、それぞれの者たちが、
自己の軌道を守りながら、「ここで光る」「ここで輝く」と微笑む印象的なシーンもある。

『神曲』を語って、ダンテを天堂へと導いたベアトリーチェにふれないわけにはいかないが、
ここでは、ただ一点、「毅然たる女性の徳は男性を正しき道にリードする」ことだけを言っておきたい。

ダンテの、地の底から宇宙の果てまでの「生命の旅」も、すべてベアトリーチェへの敬慕に導かれていた。
ゲーテの『ファウスト』でも、ファウストを最後に救い、高みに引きあげたのは「永遠なる女性的なるもの」であった。

身近な例でも女性を心から尊敬する時、男性は、その分、豊かになっている。
また、相手の徳にふさわしくなろうと努力すれば、その分、高められていく。
活動においても、女子部が前進すれば、男子部も頑張らざるをえないのではないだろうか。

ともあれ、女性は、心清ければ天なる存在である。
『神曲』全巻の執筆が、一人の若き女性に導かれたものであることを思う時、女性の力の偉大さを思わずにいられない。

私の願いとしては、恋愛をするならば、できれば、
そのことで、大いなる創造への精神力がわきいでるような、たがいに高め合うようなものであってほしい。

『神曲』について、その他、語るべきことは尽きない。
「因果の法則と人間の自由」「理性と信仰」「個人と宇宙の交流」
「政治革命より人間革命を(《政局の転換》より《政治そのものの変革》を)」等々。
これらはまた別の機会にしたい。

【イギリス青年部総会 平成三年六月二十九日(全集七十七巻)】