2014年11月23日 投稿者:河内平野 投稿日:2014年11月23日(日)09時46分4秒 通報 【ダンテ「神曲」】池田先生指導① ~ ⑩まで さて、貴国の誇る今世紀最大の歴史学者トインビー博士との、あの忘れ得ぬ出会いから、 はや二十年近い歳月が流れようとしている。 博士との対談集は、これまで十三カ国語で出版され、世界の多くの識者から、今も大きな反響が寄せられている。 博士は、私に「自分も若ければ、東洋の仏法の真髄を探求し、行動したかった」との心情を語っておられた。 もし博士が、本日の若き妙法の紳士・淑女の集いをご覧になったならば、きっと「ワンダフル!」と心から祝福してくださると信ずる。 ところで、トインビー博士との対談の折、私は、好きな作家について質問した。 すると博士は真っ先にダンテをあげられた。 なぜ、ダンテが好きか――。博士は言われた。 「ダンテは二つの点でとても不運な人間でした。一つは愛する人と別れねばならなかった。 一つは愛する故郷フィレンツェを不当な理由で追放された。 しかしダンテがもしこの二重苦を味わわなかったとしたら、あの『神曲』は決して生まれなかったでしょう。 ダンテは、偉大な芸術を生みだすことによって、みずからの私的な不幸を世界の多くの人々の僥倖へと転換しました。 だから私はダンテの人格を敬愛してやまないのです」と――。 ご自身の努力の生涯とも二重写しにするように、ダンテを語られたトインビー博士のまなざしを、私は懐かしく思い出す。 大切な、二十一世紀の指導者である皆さまに、きょうはこのダンテをとおして、少々スピーチさせていただきたい。 一切法は皆これ仏法である。 仏法のリーダーも幅広く学び、さまざまなことに挑戦することによって、自身の境涯を深め、広げる必要がある。 知性の指導者であっていただきたい。 情熱の指導者、信念の指導者、そして人間性あるれる指導者であっていただきたい。 さて「ダンテの『神曲』ほど有名な本もない。 そして、これほど実際に読まれていない本もない」と言った人がいる。 なるほど、現代では、いよいよそのとおりであろう。 【イギリス青年部総会 平成三年六月二十九日(全集七十七巻)】 Tweet