投稿者:河内平野  投稿日:2014年11月 5日(水)09時29分43秒
人間のものの見方は、その人の境涯による。
同じものでも、見る側の目によって、まったく違って見えるものである。

わかりやすい例で言えば、たとえば恋愛時代。
恋をしているときは、相手のすべてがすばらしく見える。
しばしば、他人には理解できないような美まで発見する。

ところが結婚するや、見方が一転、奥さんのほうでも《こんなはずじゃなかった。だまされた》と思っている。
本当はおたがいにそんなに変わっていないはずだが、自分の見る目のなさを嘆くより、相手が悪いようにだれもが言う。

こうした例があまりにも多い。
立場や境遇が変われば、ものの見え方も変わるものだ。
貧乏なときには、少しのお金でもありがたい、と思える。

けれども、いったん、ぜいたくになれば、金がいくらあっても足りないと思うようになる。
欲に目がくらんでしまうのである。

政治家など指導者の場合は、問題が深刻である。
そういう立場の人間が貪欲であれば、民衆が献身的に努力していても、《働きが悪い》ように見えてしまう。
そして、《もっと働け》と民衆に強要し、圧迫する。
こうした悪しき権力は、つねに鋭く見破らねばならない。

【第四回全国男子部幹部会 平成三年二月十七日(全集七十六巻)】