投稿者:河内平野  投稿日:2014年10月15日(水)11時01分37秒
「歩くこと」――それは、戦いの象徴だった。
ある時、一人の黒人のおばあさんが苦しそうに道を歩いていた。
そこに、黒人で組織する《相乗り自動車》が通りかかった。

「おばあさん、この車にお乗りなさい。歩くには及びませんよ」

ところが、おばあさんは、穏やかに、しかし、きっぱりと答えた。
「私は、自分のために歩いているのではありません。私は子どもや孫のために歩いているのです」。

そう言って、おばあさんはふたたび、ゆっくりと歩きだしたという。
後に続く世代のために、今、歩くのだ、戦うのだ。
まことに毅然とした態度である。

女性が真剣になったら、本当に強い。
物事の本質を見抜く直感の鋭さ、知恵の深さ、腹のすわった行動力――これには、どんな男性もかなわない。

はた目にも、歩くのが難儀そうに見えたおばあさんである。
車に乗れば、どんなに楽だったろうか。

しかし、かわいい子どもや孫たちの顔を思い浮かべると、彼女は負けるわけにはいかなかった。
抵抗運動の主体者だとの誇りがあった。

同じように私どもも、未来の大切な宝である学会っ子たちに、また百年、二百年と続く後継の友のために、《わが誇りの道》を、《わが創価の黄金の大道》をしっかりと開き、残し、踏みしめて、磐石に仕上げてまいりたい。

ボイコット運動はやがて、全米の市民感情をも揺り動かし、共感を広げていく。
さまざまな脅迫や弾圧もあったが、正義の行動を押しつぶすことはできなかった。
そして、とうとう、連邦最高裁判所も、「バスの人種隔離は違憲(憲法違反)である」と宣言する。

「差別から平等へ!」
「抑圧から自由へ!」。

運動を始めてからじつに一年余――偉大なる「民衆の勝利」であった。

次元は異なるが、この構図は今も同様である。
学会の勝利こそ「民衆の勝利」「人権の勝利」と確信し、堂々と正義を訴えてまいりたい。

【創立記念勤行会、第四回東京総会 平成三年十一月十七日(全集七十九巻)】