2014年9月25日 指導者論① 投稿者:河内平野 投稿日:2014年 9月25日(木)13時50分30秒 返信・引用 指導者は一人一人の人生を、そして全体を「勝利」へ導くのが使命である。そのために「指導」もある。 そのポイントは、相手の「一念」を変えるところになる。 一念が変われば「祈り」が変わり、「行動」が変わる。 「一念三千」と説かれるように、目に見えない一念の微妙な変化が、すべてを大きく変えていく。 その転換をさせていくのが名指導者である。 たんに命令や指示をしているだけ、ましてや叱ったり、威張ったりしているだけでは、リーダー失格であろう。 一例として、アメリカにゆかりの深いイギリスの話をしておきたい。 古来、イギリス人に最も人気のある人物の一人は、片目片腕の将軍ネルソン(一七五八年―一八〇五年)とされる。 ナポレオンのイギリス征服の野望を、二度にわたり、まずエジプトで破り、さらにトラファルガー(スペイン沖)で破った。 エジプトでのこと。ナポレオンは、イギリスとインドとの連絡の道を断つために、この地を占領した。 しかし、結局、ネルソン率いるイギリス海軍に敗れ、エジプト遠征は失敗した。(ナイル河口のアブキール湾の戦い。一七九八年八月一日、二日) ――決戦の前夜、ネルソンは副官のペリーに作戦を明かした。 ペリーは興奮して、「よくわかりました。もしも、われわれが成功しましたら、イギリス国民がどんなに称讃することでしょう」と言った。 ネルソンは、聞きとがめた。 「何と行ったのだ?もしも、何だって?」 「はい。もしもわれわれが成功すれば――と」 ネルソンは、厳しい口調に変わった。 「何を言っているか。今は『もしも』などと言うことは許されない。われわれは、きっと勝つ。必ず勝つ。まちがいなく成功する。明日の今ごろは、きっと栄誉の叙勲をもらっているだろう。さもなくば、英雄として葬られているだろう」 ――将軍と副官との「一念」の違いであった。 この「将の一念」が、副官を通して皆に伝えられた。 翌日は、フランス軍九隻を捕らえ、残る艦隊を、ほぼ全滅させるという大勝利であった。 名将は、兵士の微妙な「一念の弱さ」を鋭く感じ、うまく転換させる名人であった。 【第一回日米交流研修会 平成三年九月二十三日(大作全集七十八巻)】 Tweet