投稿者:ヨッシー 投稿日:2016年11月25日(金)10時38分1秒   通報

其の九

頼綱「これでご城代の腹も決まったのう」

勃樹「さすが、頼綱どのの思惑通りですな」

頼綱「さて、いよいよ具体的に動かねばならんが、まず藩律改正については、貴殿を中心に進められよ。いかがいたす」

勃樹「はい、取り敢えずは律令方の者に投げてみますが、あの現律令方衆はどうも殿至上主義者が多く、また八百の守に同調する傾向にありますから、あまり当てにはしておりません。まあ、いざとなれば拙者の赤門の先輩衆で学問所にいる二士に命じて作らせますによって、ご心配はご無用かと。彼等は殿絶対主義を鼻から嫌っておりますので好都合かと」

頼綱「さようか。八百の守の方は、次より会議には参加させぬ。また、失脚への道筋も考えておるから安心せい」

勃樹「さすがでござるな。あと、このたび参加の無かったお側用人衆への対策はいかがでござるか?」

頼綱「まだ決めてはおらぬが、まあいざとなれば筆頭御用人の坂田の守をつつくさ。奴は優柔不断の上、鼻薬に滅法弱いからな。どうにでもなろう」

勃樹「なるほど。して、幕府へのご対応は?」

頼綱「永田町下屋敷に居る佐藤金津園の守泡浩(かなづえんのかみ・あわひろ)に任せておる。彼奴は幕臣たちの好きな赤坂・銀座あたりの遊びを心得ておる上、ジジイ転がしの天才じゃ。褒美と軍資金さえ与えておけば、万事上手くやるであろう」

勃樹「ぬかりはござりませぬな。ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ」

頼綱「その変な笑いは止めんか、特にそのエクボは妙に寒気がするわい」

勃樹「・・・・」

(つづく)

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