投稿者:ヨッシー 投稿日:2016年11月24日(木)09時54分12秒   通報

其の八

城代「今日集まってもらったのは他でもない。今後の藩運営を如何に進めて行くかを相談するためである」

栄助「殿のご年齢を考えても、殿亡き後を視野に入れた展望でなければならんじゃろう」

頼綱「世間の高齢化以上に、我が藩の高齢化は進んでおるのが実情である。従って、今後は財政も極めて厳しくなるものと覚悟せねばなりません」

勃樹「まして、殿がお隠れになれば藩の求心力は半減すると予想されます。そうなれば大石藩がここぞとばかり攻勢をかけて来るのものと思われまする」

城代「各々方のご意見、一々にごもっともである。そこでこのたび、悪煎茶や大目付殿と内談をいたし、今後の藩の方針を考えた。大目付殿発表いたせ」

頼綱「はっ、では発表いたす。
まず第一に藩律を大きく改正する。これは表向きはともかくも、大石藩との攻防に終止符を打ち、我が藩が大石藩とは全く無関係である事を内外に徹底せしめ、全く独自の路線へ進むためのものである。これによって大石藩の攻撃をかわし、尚且つ無駄な消耗戦を止め、外への拡大よりも内部の固めに徹するための重要な施策である。
第二に、幕府との関係をより緊密にする。これは、幕府の方針に従う姿勢を示すことでそれによって、幕府権力の庇護を受け易くし、その権益を最大限利用するためのものである。
第三に、これも表向きはともかく、これまでの先君三代の拡大路線や天下統一の無謀な夢を捨て、実情に沿って藩を守る事を優先するものとする。そのために、時間をかけて御三君の古い考え方を風化させる施策を順次打って行くものとする。大きくは以上である」

正直「しばし待たれい!」

頼綱「八百の守どの、何か?」

正直「何よりまず、殿を先君扱いするとは不謹慎であろう! 殿は未だご存命である!」

頼綱「それは失敬致した、藩の行く末を思うがあまりつい先走ってしもうた。勘弁されよ」

正直「しかも、もしご発表の如きことをなされれば、先二君はもとより、現君が血涙を注いで築き上げてきた思想は根底から崩れてしまう」

城代「だまらっしゃい! 今は思想云々などと悠長なことを語っている時ではない! 貴殿も次席家老なれば、殿お一人のことより藩を守る事を優先すべきではないか!」

正直「いや、真に藩を守るとは一重に御当代の、、、」

城代「ええい、黙らぬか! 聞くところによれば、貴殿は何やら裏で不穏な動きをしいてると言うではないか!」

正直「なんと、決してそのような、、、」

城代「黙れ、黙れ!これにて解散!」

(つづく)

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