投稿者:ロマン   投稿日:2015年 8月 3日(月)12時55分57秒     通報
『「戦後五十年の生き証人」が語る』~池田大作×田原総一郎~

田原 平成6年5月、四月会という団体ができました。宗教団体の代表や文化人の集まりで、「自らの観念、信仰に固執して他を排除しようとする勢力や、それと同調するものに対して厳しく一線を画する」といっています。この四月会をどう思われますか。

池田 なんとも思いません。目的がよくわからないから。したがって、何も発言していません。まあ、向こうが一線を画しても、こちらは画してはいない。われわれは、日本が平和になり、日本人全体が幸せになれば、それでいいんですから。

田原 こんな会ができた理由はなんだと思いますか。

池田 こちらが聞きたいくらいです。心が小さいのでしょうね。やきもちというか、「自分たちの勢力を維持したい」「新しい勢力の勃興をなんとか抑えたい」という利害からではないですか。

田原 四月会の人たちは、憲法20条(「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」)を問題にしています。「公明党は、立法権という権力を行使している。これは憲法違反だ」というわけです。

池田 それは理屈のための理屈です。すでに内閣法制局長官の見解で明快に否定されたのではないでしょうか。また、他の優秀な憲法学者や世界的な学者がそういうことを論じていますか。選挙の自由、支援の自由、立候補の自由、結社の自由があるわけでしょう。だから、四月会のいっていることは、まったくの的外れ、浅ましい限りだと、一級の学者はいっています。だから、そんな会恐れもしないし、私が反論するつもりも毛頭ありません。

田原 四月会をはじめ、創価学会や公明党を批判する人たちは、「政教分離といいながら、実は政教分離していない。本当は池田大作の意向どおりに公明党は動いている。いわば、公明党は池田大作の操り人形だ」と思っている人が多い。この点はいかがですか。

池田 思うことは自由です。しかし、これだけの大勢の人々を自由に操れる人間なんて世界にいませんよ。落語みたいな話です。また、支援者が支持政党に意見をいれたからといって、それが憲法違反になるのか、それが政教一致になるのか。そんなばかばかしい話はどこにもない。まったく社会通念に反する。

田原 平成6年5月24日、羽田政権の時代ですが、衆議院の予算委員会で、亀井静香さんが、こんな質問をしています。93年夏の細川内閣の発足時、池田さんは軽井沢で開かれた創価学会本部幹部会で、「公明党から大臣が出ようとしている。大臣は皆さんの部下です」と発言された。「これは公明党が創価学会に支配されている証拠だ」と。

池田 いい話じゃないですか。議員や大臣は公僕でしょう。主権在民だから、大臣より国民のほうが偉いのは当然だ。田原さんは、大臣のほうが上で国民が部下だと思われますが、大臣だって自分の選挙区にいけば、選挙民に最敬礼しているではありませんか(笑)。

田原 池田さんは「公明党閣僚は創価学会の幹部の子分だ」という意味で、そういったわけですか。

池田 とんでもない! 権力者のいいなりになっては絶対にいけないという意味だ。ともかく議員や大臣を先生よばわりして偉くさせすぎてはいけないと思う。いつも選ばれた人に威張られて、選んだ人がばかにされてはかわいそうだ。私は一生涯、庶民の味方として戦っているのです。

田原 当時、いくつかの雑誌が、もうやめたはずの、学会本部での出陣式をまだやっていると報じていましたね。

池田 いや、ないでしょう。

田原 間違いですか。

池田 間違いです。学会の何かの会合に、議員が挨拶に来たということのようですね。支持団体に挨拶に来ることは、自然ではないでしょうか。

田原 そういう報道がなされるのは、「公明党は池田大作というカリスマ的独裁者に操られていうに違いない」と思っている人が多いということだと思うんです。ご自身はどう思われていますか。

池田 意味がよくわかりません。

田原 では、なぜそんな悪口をいわれるんでしょうね。

池田 わからない。

田原 池田さんが偉すぎるからですか。

池田 よくわからない。書くと売れるんでしょうか。

田原 もうひとつ、宗教法人は非課税です。しかし、日蓮正宗から破門された創価学会は、もう宗教法人ではないから、課税しないのはおかしい、という意見があります。

池田 その議論は間違いです。課税するのであれば、全部の宗教団体も同じように課税すべきです。

田原 しかし、創価学会は日蓮正宗から破門されているから……

池田 でも、学会はもともと独立した宗教法人です。

田原 しかし、日蓮正宗の信仰に従う前提での宗教法人であって、そこから破門されたら宗教法人ではないですか。

池田 とんでもない。宗祖である日蓮大聖人を信仰しています。ゆえに宗祖直結の教団です。これが日蓮仏法の根本です。

田原 日蓮正宗は関係ないと。

池田 関係ない。日蓮正宗といっても一枝葉の宗派にすぎない。まったく筋違いの論議です。

田原 なぜそんなに創価学会は妬まれ、反発を食うんでしょう。

池田 日蓮大聖人もそうでした。釈尊も、法華経を広めれば「悪口罵詈(あっくめり)」されると説かれている。日蓮仏法にも「賢人・聖人も世間の留難はのがれず」とある。経文どおりに行じている証拠です。世界を見ても、ユダヤ教でも、キリスト教でも、イスラム教でも、想像を絶する迫害を受けてきています。かつて、ある著名人が、「騒がれている間が花ですよ。善きにつけ、悪しきにつけ、騒がれるということは、大きく羽ばたいている姿です。だから風圧は当然大きい」と言っていました。

田原 800万世帯という巨大宗教団体だから、反発を食うわけですね。

池田 そうでしょう。いまは軸のない歯車のような時代です。「あれになろう。これになろうと焦心(あせ)るより、富士のように、黙って、自分を動かないものに作りあげろ」という吉川英治の言葉がある。どう思われようが、どう見られようが、泰然と生きることです。時が一切を解決し、歴史が証明してゆくものです。迫害は偉大な名誉であると仏法は説いている。叩かれないで、偉大な歴史を残した勇者は1人もいないでしょう。投獄、罵倒、弾圧、攻撃、それを生き抜いて、初めてその人は歴史的人物となり勝利者となってゆく。