投稿者:まなこ   投稿日:2015年 7月21日(火)07時58分0秒     通報
法華経の智慧 第三巻
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§見宝塔品§(上)
「我が身が宝塔」と見る
■ 妙法流布の行動者こそ宝塔

斉藤教学部長: 先日(1996年4月24日)は、池田先生とチャペル博士(ハワイ大学宗教学部教授)との語らいに、私たち三人も同席させていただきました。ありがとうございました。ヴォロビヨヴァ博士(ロシア科学アカデミー東洋学研究所)の時もそうですが、先生の語らいには「法華経の智慧」を学ぶための大切な視点が、珠玉のごとくちりばめられています。

須田副教学部長: しかも、絶妙のユーモアを交えられての対話でしたので、三時間半が、あっという間でした。先生と博士は、お疲れになったと思いますが(笑い)。

遠藤副教学部長: 博士を迎えた瞬間から、何ともいえない温かい雰囲気に、私たちも包まれました。聖教新聞に写真が出ていましたが、先生が、すかさず、博士の手荷物の紙袋を持ってさしあげたり —- 。じつはその中には、先生のために用意されたハワイの写真集や書籍が入っていました。後で博士が一点一点を紹介され、「重くてすみません」と言って手渡すと、先生は、お礼を言われながら「知ってます。さっき持ちましたから」と(爆笑)。

池田名誉会長: よく覚えてるねー(笑い)。もっとほかに、大事な話があったはずなんだが(大笑い)。
チャペル博士は語っておられた。法華経に基づいた「対話」こそが、人類の未来を開くカギであると。法華経に基づく —- というのは、あらゆる人を「宝の存在」として尊敬するということです。それが法華経であり、宝塔品です。その土台の上に、実りある「対話」もあるし、「友情」もある。「平和」もある。博士は「軍事力よりも強いのは、人間対人間の『友情』です」とも言われていました。

斉藤: 法華経といい、仏法といっても、決して遠いところにあるのではない。身近な現実の「振る舞い」にあるということですね。

遠藤: ジョーゼフ・キャンベルというアメリカの神話学者も「思いやりこそ根本的な宗教経験であり、もしそれが欠けていたら、もはやなんにもない」(『神話の力』飛田茂雄訳、早川書房)と言っています。

須田: そのことを、いつも先生が手本として示してくださっているのですが、我々は「すごいなあ」と思うだけで —- (笑い)。

名誉会長: 仏法も身近にある。「いま・ここ」にある。現実の生活にあり、人生にあり、社会にある。それを離れた、どこかに何か深遠なものがあるように見せるのは、まやかしです。

斉藤: はい。特に、後世の僧侶が自分たちを権威づけるために、神秘めかして説いたという側面があります。

遠藤: 仏がわかりやすく説いたものを、あえて難しく説いたり(笑い)。

名誉会長: そう。これから学ぶ「見宝塔品」も古来、多くの解釈があった。それはそれとして、その時代に意味があった場合もあるが、日蓮大聖人は端的に、「宝塔とは我等が一身のことである」と仰せです。
そして宝塔が出現するとは、母の胎内から生まれ出ることであるとして、「宝浄世界とは我等が母の胎内なり」(御書 p740)、「出胎する処を涌現と云うなり」(御書 p797)と述べられている。
我が身が荘厳なる宝塔である しかし、なかなか、その真実が見えない。それを見るのが「見宝塔」であり、それを見るための「鏡」が宝塔品の儀式なのです。また宝塔品の儀式を用いて建立された御本尊も「明鏡」です。
身近なのです。現実なのです。この根本を押さえた上で、法華経の説法を見ていこう。
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(見宝塔品から)
「爾の時に仏前に七宝の塔あり。高さ五百由句、縦広二百五十由句なり。地より涌出して、空中に住在す。種種の宝物をもって、之を荘校せり。五千の欄楯あって、龕室千万なり。無数の幢旙、以って厳飾と為し、宝の瓔洛を垂れ、宝鈴万億にして、其の上に懸けたり。四面に皆、多摩羅跋抜栴檀の香を出して、世界に充ヘン(ぎょうにんべんに扁)せり。其の諸の旙蓋は、金、銀、瑠璃、シャ(石へんに車)コ(石へんにさんずいに巨、下に木)、碼碯、真珠、マイ(王へんにのぶん)瑰の七宝を以って合成し、高く四天王宮に至る」(法華経 p399)

そのとき、仏の前に七種の宝でできた塔があった。それは高さ五百由句、縦も幅も二百五十由句あり、地面から涌き出てきて、空中にとどまっていた。この塔は、さまざまな宝で飾られていた。五千もの欄干があり、部屋は千万あった。無数の旗などで飾られ、宝の飾り紐をたらし、宝の鈴は万億もあって、そのうえにかかっている。四面にはみな、タマーラ樹の葉や栴檀の香りを放っており、その香りが世界中を満たしている。多くの傘状の装飾は、金、銀、瑠璃、シャ(石へんに車)コ(石へんにさんずいに巨、下に木)、碼碯、真珠、マイ(王へんにのぶん)瑰、の七種の宝でできており、高く四天王の宮殿にまで達している。
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