投稿者:まなこ   投稿日:2015年 7月14日(火)20時47分43秒     通報
§法師品§
■ 法師 —- 民衆の中に生きる「精神の指導者」

須田: ラジブ・ガンジー元首相(インド)の写真展が好評ですね。
〈八王子市の東京富士美術館で一九九六年五月十九日まで開催。元首相撮影による二百点を展示。千葉展(六月)、埼玉展(九月)も予定されている〉

遠藤: 作品から伝わってくる、何ともいえない温かさ。特に、旅先で出会った老人や子どもたちの写真を見ると、ラジブ首相が、インドの人々に、どれほど深い愛情を注いでおられたかが偲ばれます。

名誉会長: ラジブ首相は、そのような庶民から贈られた、ささやかな手作りの品々を、宝物のように大切にされていた。
貝細工とか、竹で編んだ籠とか —- 。それらを時折、懐かしそうに手にしておられたそうだ。信念の指導者」であると同時に、どこまでも「真心」を大事にされる方であった。

斉藤: ラジブ首相は、日本の国会で語られました〈一九八五年十一月二十九日〉。
「釈尊の『慈悲』の精神こそ、人類生存の必要条件であります」と。
この演説の直後に、池田先生はラジブ首相と会われたんですね。

名誉会長: そうです。お疲れだったはずなのに、穏やかな笑顔で迎えてくださった。
握手を交わした瞬間、優しい表情の奥に、「命をかけている人間」の、巌のごとき強さを直感した。

斉藤: 母であるインディラ・ガンジー首相が暗殺されてから、まだ一年しか経っていない時でした。

名誉会長: そう。かつてインディラ首相は、「父・ネルーから受け継いだ最大のものは」との問いに、「インド国民への大いなる愛情です」と答えた。
ラジブ首相に「母・インディラから受け継いだ最大のものは」と問うたなら、まったく同じように答えられただろう。
ラジブ首相の心に燃え続けた「国民への愛情」は、爆弾テロ(九一年五月)によっても奪うことはできなかった。
人間には「生死」を超えて果たすべき使命があると思う。
そのために生き、そのために死んでいける使命を自覚した人生は、なんと崇高なことか。

遠藤: 忘れられないのは、池田先生が、ラジブ元首相の慰霊碑に花を捧げられた時のことです〈九二年二月〉。私もこの時、インドに同行させていただきましたが、先生は、このように署名されました。
「偉大なる大指導者は 悲劇的に見える時もあるが それは永遠に民衆を覚醒するための 偉大にして 壮大な劇なのである」

須田: 先生ご夫妻が、ソニア夫人を励まされた場面も、鮮明に心に残っています。
「宿命を使命に変えてください」
「難しいでしょうが、振りむかず、前へ、前へ。それが貴国インドが生んだ釈尊の教えです」
掲載された聖教新聞を何度も読みました。

名誉会長: 宿命をも使命に変える。その力強い生き方を教えたのが法華経です。
法師品(第十章)は説いている。
清浄な場所に生まれようと思えばできる大菩薩が、苦悩の民衆を救うために、あえて、願って悪世に生まれ、法華経を説くのだと。
それが、今、この世に、妙法を弘めている私たちです。私たちは、壮大な“劇”を演じているのです。
この法師品について語り合っていこう。