投稿者:信濃町の人びと   投稿日:2015年 6月27日(土)09時54分5秒     通報 編集済
最近読んだ本に、百田尚樹の「永遠の0(zero)」があります。

百田尚樹は、安保法制が問題になったので、興味無かったのですが知っておいた方が良いな思いまして。
感想は、百田思想満載の、お友達安倍ちゃんが掲げる美しき日本でしたね。

ストーリーは上手くできてますが、特攻隊をファンタジィに閉じ込め美化した、戦争大好き馬鹿が書いた本。

また、彼の新聞批判が今旬な話題ですが、新聞記者への憎しみがこもっていて、この人の根底には元から新聞を敵視する考えがあるから、ウッカリ出ちゃうんだなと感じましたね。

新しい歴史教科書を推進したい意図が見えみえの、歴史修正主義者であることが、よくわかる本でした。

なぜ日本軍が負けたのか、日本軍幹部の指揮や作戦、保身や末端軍人の使い捨て問題などは、組織論などには役に立つでしょう。

しかし、この程度の底の浅い本が売れ、映画になり、絶賛されるところに日本人の文化度が低いことがよくわかりました。
愚考の世界の成れの果てですね。
同じzero戦を扱っていた宮崎駿監督の映画、
「風立ちぬ」との比較をすると、百田尚樹氏の底の浅さが鮮明になるでしょう。

戦争を美化してはいけない。と、ジブリの宮崎駿監督が永遠のzeroを批判していた理由がなんとなくわかりました。
宮崎駿監督最後の長編映画、「風立ちぬ」は永遠のzeroへのアンチテーゼなんですね。

監督自身もあの程度の本が映画されることへの対抗心が
一度引退をしようとした自分を奮い立たせたと、どこかで語っていたことを思い出しました。

同じzero戦を扱っていますが、ファンタジィとして対局の世界が表現されています。

映画「風立ちぬ」に出てくるジャンニ・カブロー二さんは
実在の人物ですが、飛行機設計技師で飛行機の製作会社を作った人です。飛行機づくりの名人ですが、第二次大戦では役に立たない飛行機を沢山つくり、評判を落とした人なんですね。
イタリア軍があっさり戦争に負けたのは、彼が最初から役に立たない飛行機を作ったからかもしれません。
最後まで本土防衛、一億総玉砕などと馬鹿げたことをした日本軍、政府、大本営を皮肉る意味もあったかもしれません。

また、飛行機大好きの宮崎監督ですが、ジブリとはそのカプローニさんの会社が作成した飛行機の名前です。

zero戦の設計書、堀越さんは、飛行機が大好きで、宮崎映画の中では、カブローニ氏を尊敬している姿が描かれています。
彼も実在した人物ですが、戦争に勝つためよりも単純に美しい飛行機を作りたかっただったのに。これを描きたかったので、
カプローニ氏が夢の中で顕われてきたんだと思います。

堀越氏は、戦後ご自分が設計した飛行機が特攻隊に使われ、多くの若者を死に追い込んだ責任を感じていたようで、あえて多くを語らない人生を選択されました。

また、宮崎駿監督のお父さんは、戦時中に軍事工場かなにかで、日本軍の為に何かをつくり生計を立てていた方で、
戦後ご自分の父親が間接的にでも戦争に加担し、自分はそのおかげで生活ができていたことに、かなり苦しんだことを述懐しています。

ご自分が戦争下で軍国教育を受けざる得なかったことが、ご自分の子供に見せたい映画やアニメを作る道に入ったきっかけだったようです。

風立ちぬは、堀辰雄さんの小説題名ですが、堀辰雄さんと婚約者なほこさんの儚い命と切ない恋愛も描かれています。

同じテーマである、戦争、zero戦、恋愛、人の命の尊さ
これらをファンタジィに描いているのですが
根底にある思想が全く違う美意識や世界を表現していることに
眼を向けて気づきを得ることも可能です。