投稿者:多様性万歳   投稿日:2015年 6月13日(土)00時43分27秒     通報
いくら社会生活や国際関係の秩序を守ろうと法律を制定しても、それを運用するのは人であるため、その人しだいで結果は善にもなれば悪にもなる。
そもそも法律は最小限、もしくは基本的な社会秩序を守るためのものであり、決してそれ自体、完璧ではない。
その法律がいかに立派そうに見えても、それを運用する人間によっては、冤罪や悪用がなくならないことは、これまでの歴史が証明している。(学会員にとって身近な例としては、牧口先生、戸田先生を逮捕した戦中の「治安維持法」、池田先生を無実の罪で逮捕した「公職選挙法」)

今回の『安全保障関連法案』について、公明党はいわゆる「集団的自衛権」ではなく、「個別的自衛権」のみを認めるのであり、しかもそれは新3要件でしっかりと歯止めがかけられているので、憲法の範囲内だと有権者に説明してきた。
一方、連立を組む自民党は、新3要件を満たせば、「集団的自衛権」が認められるとの立場だ。

私たち一般の有権者にとって、『安全保障関連法案』の中身を法律的な観点から、一つ一つ精査し、合憲か違憲かを判断するのは難しい。ただ公明党の説明を好意的に受け止めれば、きっと、もし公明党一党のみで、この法律を運用するのであれば、公明党の説明も正しいのだと思う(憲法の範囲内)。
しかし、この法律を運用するのは、現在のところ実質的には自民党である。つまり自民党から見れば、この法律は、たとえ新3要件があっても、「集団的自衛権」を発動するのに十分な根拠として捉えている(憲法違反)。
つまり同じ法案の中身でも、その法律を運用する政権(政党)次第で、憲法違反である「集団的自衛権」を発動できる余地を残しているということである。
国民が見ているのは、この点である。公明党が「歯止めをかけた」と主張している新3要件や事前の国会承認では、完全な歯止めになっていないと映っているし、自民党の国会答弁を見ていても然りである。

これまでも『防衛装備移転三原則』、『特定秘密保護法』を制定する際には、公明党が「歯止めをかけた」と支持者に説明してきたが、実際には歯止めがかかるどころか、自民党にいいように利用されてきた。それでも公明党が「歯止めをかけた」と主張するのなら、具体的に有権者に説明してもらいたい。
今回の集団的自衛権をめぐる『安全保障関連法案』についても、それから現在、多くの人たちが懸念している『派遣法改正』についても、公明党が歯止めをかけたとか、派遣労働者を守るためとか説明しているが、それはあくまでも公明党一党のみで、その法律を運用した場合の話だと思う。(つまり「善意の解釈」による運用。しかし全ての運用者が公明党のように善意とは限らない)
何度も言いますが、実質的にその法律を運用するのは自民党であり、悪用されるのは目に見えています。

もういい加減に、自民党に利用されている現実を見つめて下さい。その都度、支持者がどれだけ悔しい思いをしているかを知って下さい。
もし公明党が「野党」であったなら、上記それぞれの法案について、その欠点や矛盾を厳しく追求していたのではないでしょうか。「与党」になった今、なぜ、法案の利点のみを説明し、問題点を隠すのでしょうか。

完璧な法律というものがないことは誰でも理解しています。だからこそ、その法律(法案)の利点と問題点を全てきちんと説明した上で、有権者、特に支持者に選択させて欲しいのです。(通常、政党は支持者の意見を国会に反映させるものだが、公明党は、逆に政党の判断を支持者に押し付けているようにしか見えません)
利点のみを説明して、故意に問題点を隠し、支持を取り付けるのは、「詐欺」行為です。
立法府に携わる政党として、有権者に「詐欺」と言われないように、責任ある説明と良識ある行動を求めます。

以上