投稿者:まなこ   投稿日:2015年 6月 7日(日)17時57分47秒     通報
はじめまして。
アルベア様から法華経の智慧を左脳と右脳で読むのでは天地雲泥の差があるとのコメントがありました。
改めて読みなおしていますが、せっかくなので宿坊の掲示板の皆さんと研鑽できればと思い、少しづつアップしていきます。
皆さん、宜しければ一緒に研鑽おつきあいくださいw
■「哲学不在の時代」を超えて

斉藤: 「法華経の智慧 —- 二十一世紀の宗教を語る」と題して、池田先生に、多角的に語っていただくことになりました。
法華経が現代に送る光、豊かな智慧の大海を、私たちも学んでまいりたいと思います。
特に、この内容は、新入会の方々や、海外のメンバーも含めて、仏法に関する理解を深めていただけるものになればと願っております。
よろしく、お願いいたします。

池田名誉会長: こちらこそ、よろしく。
いよいよ、本格的に「二十一世紀の宗教」を語るべき時代に入りました。今、人類は共産主義崩壊、哲学不在の時代の彼方の山に目を向けながら、新しい大哲学を求めている。 つまり、精神の空虚を充実で満たしてくれる何かを求めている。疲れた生命を、はつらつと希望に蘇らせてくれる何かを求めています。
自分が、また社会が「どこへ」「何のために」進めばよいのか。それを教えてくれる智慧を求めている。
あるいは、戦乱の旧ユーゴ諸国で。
あるいは、飽食の先進国の社会で。
あるいは、混乱の旧・社会主義国で。
あるいは、貧困と戦う第三世界で。
「経済の成長」を至上命令にしてきた現代にあって、より大切なのは、「『人間』が根本」、つまり「人間の成長」ではないのかと気づき始めています。
「知識の飛躍的増加」が進む情報社会にあって、知識を使いこなすための「智慧の飛躍的増大」が、至急になされなければならないと理解されつつある。
何かが間違っている。何かが必要だ。科学でも幸福はない。社会主義でも資本主義でも救われない。どんなに会議を開いても、道徳を訴えても、心理学を講じ、哲学を論じても、何かが欠けている。
今、人類の心の情景は、このようなものではないでしょうか。
『星の王子さま』で知られるサン=テグジュペリは言っています。
「われわれがどこかで道をあやまったということを理解しなければいけない。人間全体は以前よりも豊かになっている。よりおおくの富と時間を享受している。だがしかし、うまく規定できぬ本質的ななにものかが欠けているのだ。自分を人間として感じることがしだいに稀になっていく。われわれの神秘的な大権のうち、なにかがなくなってしまったのだ」(『人生に意味を』、渡辺一民訳、みすず書房)
人間は「道をあやまった」というのだ。
人間は「どこへ」「何のために」 —- 。
法華経の従地涌出品(第十五章)では、無数の地涌の菩薩が大地から涌出してきたときに、弥勒菩薩が質問します。
「是れ何れの所より来れる 何の因縁を以ってか集れる」(法華経並開結。以下、法華経と表記。p480)
その場にいた人々の疑問を代表した質問ですが、地涌の菩薩は「どこから」「何ゆえに」集まって来たのかと聞いたのです。

斉藤: その問いについて、釈尊は“よくぞ、このような「大事」を問うた”と弥勒を称えています。そして、この問いへの答えとして、如来寿量品(第十六章)という法華経の最重要の法門が説かれています。

名誉会長: 本当に重要な問いです。その法門上の深義は、いずれ論ずるとして、敷衍していえば、人間は「どこから」、そして「何のために」この世に生まれたのか、という問いにも通じるのではないだろうか。

遠藤: 池田先生が、学会の座談会に初めて出席された時の模様が、小説『人間革命』には描かれていますが、戸田先生の前で詠まれた即興詩を思い出します。
そこには
「旅びとよ/いづこより来り/いづこへ往かんとするか
月は沈みぬ/日 いまだ昇らず
夜明け前の混沌に/光 もとめて/われ 進みゆく
心の 暗雲をはらわんと/嵐に動かぬ大樹を求めて
われ 地より湧き出でんとするか」
とあります。

名誉会長: 戦後の動乱期を生きる青年として、人生の意義を、私は切実に求めていた。
そして私は、戸田先生と出会い、軍国主義に反対して投獄された人物ならば信用できる、と直感したのです。戸田先生との出会いが、私にとっての法華経との出合いになりました。
人は「どこから」そして「どこへ」「何のために」 —- この問いに答えることこそ、人間としての、一切の営みの出発点となるはずです。

須田: それに明快に答える思想・哲学・宗教は、どこにあるのか —- これが課題ですね。社会が戦争で「焦土」であっても、心に「哲学」が生きていれば、未来は明るい。
それを池田先生は証明されたと、私には思えます。

斉藤: それが法華経の哲理でもありますね。

須田: しかし、社会が豊かであっても、心が「焦土」であっては、未来は暗い —- 。

名誉会長: その通りだ。それで思い出したのだが、現代人の心象を「心のなかが爆撃を受けた」と表現した人がいます。
ナチスの強制収容所の体験で有名なフランクル博士てす。