投稿者:信濃町の人びと   投稿日:2015年 5月27日(水)18時19分59秒     通報 編集済
池田大作全集97巻より
方面長協議会 (2005年2月11日)①

■師弟ありて学会は勝利

寒いところ、本当にご苦労さま! 全国各方面の発展を、いつも心から祈っています。
とくに婦人部の皆さま方は、洋々と大きく波を打って進んでいる。希望と勇気と歓喜を広げるすばらしき前進に、深く感謝申し上げたい。
ともかく「健康第一」で、一日一日を有意義に、朗らかに、楽しく、皆を勝利の方向へ、幸福の方向へリードする名指揮を、お願いしたい。
大事な方面長の集いである。広宣流布の未来を展望しながら、価値ある協議としていきたい。
きょう(十一日)は戸田先生の誕生日。創価学会にとっての、祝賀の日である。先生が亡くなる年(昭和三十三年)の最後の誕生日、私は、ご自宅にうかがい、お祝いを申し上げた。

晩年、先生が、広宣流布のために「アジアへ行きたい」「メキシコへ行きたい」と言われていたことを思い出す。世界へ! 民衆のため、平和のために!
――心には大いなる希望を燃やしておられた。

厳しい先生であった。
鋭い先生であった。
そして、偉大な先生であった。

先生は、物事の本質を瞬時につかみ、インチキは必ず見破った。あらゆる機会を通して、未来への重要な指針を残された。すべてが、私の心に焼きついている。

この何十年間、私は一年三百六十五日、瞬時たりとも、戸田先生を忘れたことはない。朝も夜も、思索する時、だれかと話す時、つねに私の心には、先生がいる。

「私の言ったことを皆、すぐに忘れてしまう。全部聞き逃さずに、覚えているのは大作だけだな」

ある時、先生がそう言ってくださった。

戦争中、牧口先生が投獄された時である。大恩ある師を、臆病な弟子たちは、次々と裏切っていった。そのなかで、戸田先生は、師匠とともに牢に入ることを、無上の誉れとされた。

後年、戸田先生は、牧口先生を偲んで、こう語っておられる。

「あなたの慈悲の広大無辺は、私を牢獄まで連れていってくださいました」
なんと崇高な心か。名聞名利の人間には、わかるはずがない。

戸田先生は、それはそれは厳しく、私を薫陶してくださった。
私は、わが身を捨てて先生をお守りした。言われたことは、すべて、絶対に実現してきた。

まっすぐに師匠を信じて、師匠と心を合わせていく。広宣流布の大将軍たる師の戦いの焦点は、今、どこにあるのか
――それを思索し、肉薄し、先頭に立って実行する。そうやって私は新しい舞台を切り開いてきた。

その私を、先生も深く信頼してくださった。
「大作はいるか」「大作は今、何をしているか」と、つねに命から離さなかった。

この「師弟」ありて、創価学会は勝った。
世界的な大発展のなかで、先生の誕生日を祝うことができ、本当にうれしい。(拍手)

私は、青春時代、戸田先生から古今の一流の文学をはじめ、万般にわたる学問を教えていただいた。

なかでも『三国志』は、先生が次代を担いゆく青年を鍛錬するため、よく使われた書物である。
戸田先生は、さまざまな示唆に富んだ指導をしてくださった。「団結の大切さ」「敵を忘れるな」等、人間学、将軍学を教えていただいた。

皆さんもご存じのように、三国志は、二世紀後半から三世紀後半の中国が舞台である。

「魏」「呉」「蜀」の三国が 鼎立ていりつ した時代で、約百年間にわたった治乱興亡の模様が描かれている。まさに流動の世界、激動の時代である。

きょうは、広宣流布の指揮を執りゆく「将の将」の皆さまが集っておられる。日蓮大聖人は「謀を帷帳の中に回らし勝つことを千里の外に決せし者なり」と仰せである。

三国志の英雄のごとく、各地域で、広布のために、最高の智慧を結集し、心一つに、永遠の勝利の金字塔を築いていただきたい。

戸田先生は、三国志の登場人物のなかでも、「蜀」の国の名丞相であった諸葛孔明をこよなく愛しておられた。その孔明が、ひときわ光彩を放つのが、主君である先帝の劉備が亡くなってからの攻防戦である。

三国時代といっても、「蜀」の国は、「魏」や「呉」に比べて小さい。国力を比較すると、「魏が六、呉が三、蜀が一」という説もある。それほど格差があった。

「衆寡敵せず」
――ふつうに考えれば、多人数に少人数はかなわない。それをどう切り開くか。

孔明が取った道は、味方をつくり、地盤を固め、そして打って出ることであった。
孔明は、守勢に回らず、「戦い続けること」を選んだのである。

劉備の喪が明けると、孔明は大国・魏への「北伐」を開始。それは孔明が五丈原で病没するまで、五度にわたった。孔明はその決意をこう述べている。

「 鞠躬(きっきゅう)尽力し、死して後己まん」(中林史朗『諸葛孔明語録』明徳出版社)
――誠心誠意、真剣に努力し、死ぬまで戦いをやめない。

たゆまざる前進に、未来への光がある。戦い続けた人生に、栄光が輝くことを忘れてはならない。