投稿者:河内平野  投稿日:2014年11月 6日(木)11時57分43秒

 
最近、チャップリンの作品や生き方をとおしてスピーチしたところ、
何人かの方から、「ぜひ、ビデオでも観賞を」と強くすすめられた。

目が疲れるため、テレビはあまり長く見ないことにしているが、
せっかくのお言葉なので、昨日、『チャップリンの独裁者』のビデオを見た。
やはり名演技である。

とくにラストシーンの彼の演説は、何度聞いても、深い余韻を残さずにはおかない。
先日のスピーチではふれなかった部分を、ここではご紹介したい。

チャップリンは語る。
「すべての人間に働く機会を与え、青年には未来を、
老人には安心を与えてくれるまともな新しい世界を作り出すために、
みんなで戦おうではありませんか。
独裁者も似たような約束をして権力を手にしました。
しかしかれらはうそつきでした!
約束は守られませんでした。永遠に!
独裁者というのは、自分は自由でも、他の人を奴隷にします。
世界を自由にするために戦いましょう。
国境をなくし、欲望や、憎しみや、監視をなくしましょう。
科学と進歩がわたしたちみんなを幸福にしてくれるような理想的な世界をみんなで作りましょう。
兵士の皆さん民主主義の名の元にみんなでひとつになりましょう!」(ラジ・サクラニー『チャップリン』上田まさ子訳、佑学社)と。

大事なのは「良識」である。だれが民衆との約束を果たすのか。
いかにすれば、人類を幸福に導くことができるか。
ここに、社会のもっとも基本とすべき「良識」がある。
「道理」がある。

そして、その実現のためには《戦わねばならない》と。
また、人類を幸福に導く「科学と進歩」――。
映画のなかでは「文化の進歩」とも訳されていたが、何よりもチャップリンが、
理想的な世界の実現に「文化」の役割が不可欠だと主張していることは、注目に値する。

さらに彼は、独裁者たちの迫害から、遠く国外へ逃れた恋人ハナ(ハンナ)へ向けて、次のように語る。
「ハナ、ぼくの声が聞こえるかい? いまどこにいようと、さあ、顔を上げて! 見上げてごらんよ、ハナ! 雲が切れるよ! 光が射してきたよ! やみが去って、僕たちの上にも光が輝くんだ! 欲望と憎しみと残忍さをなくした、よりよい世界がやってくるよ。見上げてごらん、ハナ! 人間の魂には翼を与えられていたけれども、いまやっとはじめて空を舞いはじめた。にじの中へ、光の中へと、いま飛んでいるんだ。空をごらん、ハナ! 顔を上げて!」(同前)と。

《人間の魂の翼は、羽ばたく権利をもっている。
だれ人も、それを邪魔することはできない。
人間は本来、自由な存在なのだ。
さあ、希望の空へ飛び立とう。幸福の虹をつかむのだ》――。

この人間として当然の叫び。
そのなかに、映像に託されたチャップリンの「理想」があった。「哲学」があった。
法のため、人のため、社会のために、そして人類の永遠の幸福と安穏のために尽くしゆく青春――。

諸君は、その偉大にして崇高なる使命に立ち上がった創価学会青年部である。
これほどのロマンと充実と喜びに満ちた青春が、ほかのどこにあるだろうか。
断じてないと、私は申し上げだい。

【第四回全国男子部幹部会 平成三年二月十七日(全集七十六巻)】