投稿者:mission 投稿日:2017年 6月24日(土)17時32分37秒   通報 編集済
池田大作の軌跡 Ⅲ 平和と文化の大城
第七章 公明党を創立(上)より抜粋

◆悪いやつに怒れ!
しわぶき一つない会場に、戸田会長の御書講義の声が響いた。
1952年(昭和27年)秋。入会間もない青年が、しゃかりきになってペンを走らせていた。
「質問のある人は、いらっしゃい」と言い残して、会長は講義を終えた。

控室の戸を叩いた。屈託のない笑顔に引き込まれ、思い切って質問した。
「私は怒りっぽくて困っております。どうしたらいいでしょうか」
スッと笑みが消えた。
バーン。両手の拳で机を叩いた。
「怒りっぽいことの何が悪い!」激怒している。
「世の中には、怒らなきゃならない相手がいる。本当に悪いやつがいる。すべてに優しくしょうなんて、根本的に間違っている」
勢いは止まらない。
「男は六十を過ぎると、みな好々爺だ。良いも悪いも引っくるめて、いいよ、いいよとなる。これは男の堕落だ」

戦前の惰弱な政治家たちの姿が念頭にあったか。
「そんな情けない男になるな。年を取っても、悪いものは悪い、良いものは良いと言い切れる、力ある男になれ」
一瞬の間。
「なれるか!」 腹の底から絞り上げた。

「はい!」 笑みが戻った。
「その言葉に間違いがないなら、将来、衆議院議員になれ!俺が応援してやる」
学会が政治進出する三年前である。
悪に怒る政治家たれ!
後に青年は衆議院議員となった。

◆「文化闘争」路線
戸田会長は眼鏡を外し、机に広げた日本地図を舐めるように凝視した。
学会員の分布図を詳細なデータと照合していく。
1954年(昭和29年)秋。学会の世帯数は15万に迫ろうとしていた。
圧倒的に多いのは首都圏、蒲田から鶴見に広がる京浜工業地帯に印が集中している。
関西の堺、北海道の函館、東北の仙台、九州の八女にも密集していた。
ゆっくり顔をあげた。「よし。いけるだろう」
11月、文化部を結成。本格的な政治進出を決めた。
焦点は翌年春の統一地方選挙。人望のある者や教育人、経済人を「文化部員」に選び、候補者にした。

二つの特徴があった。
第一に「文化闘争」という独自のネーミングを掲げたことである。
独特の観点があった。「政治とは生活である。政治を含めた生活のスタイルが文化である」
王法、仏法の立て分けに即していえば、王法を文化と言い換えた、といえようか。
選挙支援は、広汎な文化運動の一つにすぎない。学会は政治もやるが、教育、芸術、平和もやる。

第二に「地方」から政治に関わった。
戦後、天理教を筆頭に、いずれの教団も国政選挙から手を染めた。
しかし一年もたないことは、天理教の場合で実証ずみである。
結果的に、信徒が政治の犠牲になった。
まず身近な地方議会で足腰を鍛える。政治をぐっと庶民の側に引き寄せる。
地力をつけたうえで国政に出す。
宗教学者の評価。
地方議会進出は『政治を庶民の手に』
参議院進出は『政治を監視せよ』
戸田会長が政治を熟知していた証左だ。

◆千尋の谷に落とす
信濃町の学会本部二階。広間に54人が揃った。文化部員の任命式である(1955年2月)。
戸田会長が入場した。厳しい目線で一人一人を見つめていく。
「今日、ここにいるのは、わが愛弟子たちである。しかし、ほとんど全員が退転するだろう」

げっ。文化部長の鈴木一弘が浅黒い顔を上げた。川崎市議候補。
前年、勤務先が倒産。月3円の生活に暗転した。
人柄を見込まれ、会長に呼ばれた。
「どうだ、市会議員になって再起しないか」
あの慈顔が忘れられない。いま目の前にいるのは厳父だった。

「師子は千尋の谷に子を突き落とし、這い上がらせて訓練をする。ここにいる皆も、千尋の谷に落とさざるを得ないのだ。だが、ほとんどの者が……」
しんと静寂が流れた。
「……二度と這い上がれないだろう」
ひと筋の涙が頬を伝っていた。側に控える池田室長は眼を閉じている。
「それを思うと、私は余りの辛さに……涙がこぼれるのだ」
牧口会長を獄死させた政治権力への怒り。

戦後、雨後の筍のごとく政界に進出した他宗教の動向。
いまだ誰も果たしたことのない、日蓮仏法の「立正安国」「王仏冥合」という見果てぬ夢の実現。
時機は来た。打つべき手は打った。だが、権力には魔性が棲んでいる。
ここに居並び、これから政界に送り出さねばならぬ弟子たちの、誰一人として気づかぬほどに獰猛で、狡猾で、甘美な魔性が。
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【悪を悪と言い切る政治家になれ!】
半世紀以上も前から第二代会長である戸田先生は叫ばれていた。
その言葉に今の創価公明は、応えられる者が誰一人もいないどころか反対に弓を引いているのが現状だ。

【牧口会長を獄死させた政治権力への怒り】
戸田先生や池田先生。そして会員達の想いも「共謀罪」で粉々に踏み潰した上に「汚い!危険!北朝鮮」のトリプルK爆弾を炸裂させた。
「公安に監視される共産党が悪い」と公明党。
「特高に弾圧され獄死した牧口常三郎が悪い」と限定したのと同じで絶対に許されない事だ!