投稿者:ヨッシー 投稿日:2016年11月21日(月)10時32分4秒   通報

其の五

頼綱「おいっ、皆行の守」

勃樹「これは、八尋左衛門どの。何か?」

頼綱「ちょっと顔を貸さんか。大事な話がある」

勃樹「では、いつもの法務庵に伺いましょう」

法務庵

頼綱「次の当主は貴殿でゆく」

勃樹「なっ、なんと。それは誠ですかな?」

頼綱「誠じや。すでに各所に根回しも済んでおる」

勃樹「して、それはいつの事にて?」

頼綱「そうさな、拙者の計画では新城の完成の頃、完成祝賀と同時がよいと

  考えておるが」

勃樹「誠ですかー?」

頼綱「しっ。声がでかい」

勃樹「ま、こ、と、で、す。かぁぁぁぁ」

頼綱「なんじゃその訳のわからん嬉しそうな顔は。本当に笑顔の似合わん男だのー」

勃樹「(^◇^)」

頼綱「ただそれには問題が残っておる」

勃樹「なんでござるか?」

頼綱「一つは、由佳の局の件じゃ。オヌシ女房がありながら中々隅に置けん

  そうじゃないか」

勃樹「な、なんでそれを」

頼綱「たわけ、城内に知らぬ者はおらぬわ」

勃樹「面目至極も、、、」

頼綱「まあ良い。そこでじゃ、次期当主の障りになりかねんそのおなごを遠

  ざけねばならん」

勃樹「なっ、なるほど、、してどのように」

頼綱「馬喰町に密邸を用意した。兎も角城内から追い出して暫くそこに住ま

  わせるのじゃ。城中には他藩へ嫁いだとかなんとか言っておけばよい」

勃樹「馬喰町に、」

頼綱「金もかかったが中々良い住まいじゃ。あれなら文句は言うまい」

勃樹「その金はいずこから?」

頼綱「忍びの芳典に出させた」

勃樹「忍びのホウテン?」

頼綱「オヌシもよく知っておろう。板橋宿で棺桶商いを営んでる竹林屋を。

  あれが奴の表の顔じゃ」

勃樹「あー、よく存じております。あの御仁には若いときから何かと世話に

  なり申した」

頼綱「なに、奴もまたオヌシが当主になれば利を得るというもの。気にする

  ことはない」

勃樹「何から何までかたじけない。」

頼綱「なに、我らは三位一体じゃ、ハッハッハッ」

勃樹「ハッハッハッ」

頼綱「たわけ、笑っている場合ではない。もう一つ重大な問題が残っておる」

勃樹「重大な問題とな? してそれは?」

(つづく)

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