投稿者:ヨッシー 投稿日:2016年11月20日(日)08時04分25秒   通報
其の四

重蔵「ご城代、ご城代はおられぬか」

城代「ここじゃ。いったい何事か!もしや殿の身に、、」

重蔵「いえ、なんとか御一命をとりとめてございます」

城代「さようか」

重蔵「お慶びになりませぬので?」

城代「あつ、いや、いや、それは良かった。良かったのう」

重蔵「はい、ただお命はとりとめましたが、、、」

城代「とりとめたが何じゃ」

重蔵「お言葉を発するのが困難な状態でござるります」

城代「なんと、お言葉が発せられぬと申すか」

重蔵「さようで。しかもご高齢のせいもあってか、ご記憶も時に曖昧で、、、」

城代「そっ、それでは何事もご判断ご決断出来得ぬでわないか」

重蔵「勿論、悪い時ばかりではございませんが、しかしやはりあのご状態では、、、」

城代「さようか。すなわち今後のマツリごとには携われぬほど厳しいとな」

重蔵「御意」

城代「うむー、、、」

(チャンスだよ。)

城代「なに?」

(最大のチャンスだってーの)

城代「おのれ、曲者、また出おったかー」

重蔵「ご城代、いったい誰と話されてるので?」

城代「あっ。いや。なんでもない。ご苦労だった。下がってよいぞ」

(生きているが、指示出せない。これほど好都合なことは無いぞ。クックック)

城代「何を申すか」

(だってそうだろう。藩民は殿様が元気だと思っているのだ、オヌシが何をやろうと

殿様の指示だと思ってくれるよー。クックッ)

城代「たっ、確かに。その方が混乱もなく治るが、、、」

(そうよ。知らぬが花っていうだろう)

城代「だがしかし上手くゆくかのー」

(大丈夫さ。彼奴はしぶといからな。今回だって俺を欺くための芝居かと疑ったくら
いさ。だからな、時々リハビリと称して外へ連れ出すのさ。姿さえ見せれば誰も疑う
もんかよ)

城代「りはびり?」

(おっと、すまん。そいつは西洋の言葉だ、気にするな。兎も角だ、詳しい手順は
「頼」にいっとくからシッカリやれよ。「友」の時みたいにしくじるなよ)

城代「友?」

(いや、なんでも無い。気にするな。じゃぁな)

(つづく)

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