投稿者:京都乃銀鬼 投稿日:2016年 9月20日(火)12時03分41秒

谷川374919刑事告訴事件の真相シリーズ !! ④ 2/2 完結

同氏は、波田地氏が不起訴になった理由は「起訴猶予」であるとして、

「この場合、波田地の主張が真実と認められ名誉棄損に当たらないと
判断された場合は『嫌疑なし』あるいは『嫌疑不十分』という理由になる。

一方で『起訴猶予』は、被疑者(=波田地)が犯罪を起こしたことは
確実であるが、犯罪自体が立件するほどには重くない、

あるいは本人が深い反省の情を示しているなどの情状酌量の余地がある場合に出される措置だ。
同じ不起訴の範疇とはいえ、このように内容には、天と地ほどの開きがある」

と述べている。

しかし、先に検証したように、波田地氏の行った名誉毀損行為は、

「立件するほどには重くない」とは到底言えないし、
「本人が深い反省の情を示している」という事実もない。

何らの弁償もしていないし、谷川氏の処罰感情は高いままであろうし、
波田地氏がこれまでの主張を続ける可能性もあると思われる。

つまり、柳原氏の言う「情状酌量の余地」はないと言える。

にもかかわらず、波田地氏は不起訴処分になった。

となると、考えられる理由は、繰り返し述べてきたように、名誉毀損罪特有の「免責3要件」
すなわち利害の公共性、目的の公益性・事実の真実(相当)性を満たしていたから、というよりほかないであろう。

柳原氏が、同じコラム日記で「波田地は今回は特別に“無罪放免”してもらった」云々と述べているのを見て、

谷川氏擁護派が「お目こぼしですた\(^o^)/」などとヌカ喜びしていたが、波田地氏の起訴猶予を理由とする不起訴処分は、

“特別の無罪放免”でも、“お目こぼし”でもなく、上記の3つの要件を満たした場合に、当然、認められる「免責」だったのである。

告訴人は不起訴処分に不服がある場合、検察審査会への審査申立ができるが、
谷川氏はその申立をしないまま、公訴時効を迎えてしまったのである。

また、民法上の名誉毀損による損害賠償請求権も、犯人と被害の程度を知った日から3年で消滅するので、
谷川氏は刑事でも民事でも、374919事件の問題で二度と訴えることはできなくなったのである。

【③検察官が「不起訴処分」の理由を「起訴猶予」とする時の実際のところ】

柳原氏は「波田地の主張が真実と認められ名誉棄損に当たらないと判断された場合は『嫌疑なし』
あるいは『嫌疑不十分』という理由になる」と述べているが、果たしてそうであろうか?

被告訴人の主張が真実と認められ、名誉棄損に当たらないと判断された場合でも、
理由は起訴猶予とされる場合があるのではないか?

そうでなければ、不起訴の理由の90%以上が起訴猶予という事実は説明がつかないであろう。

(小倉秀夫弁護士のHP<http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2007/01/post_8430.html>によると、
嫌疑なし・嫌疑不十分等で不起訴となる割合は、実質的に全体の約2.6%に過ぎないとの報告も)

実際「検察庁で事件が不起訴処分になる場合、裁定主文にはいろいろなものがありますが、起訴猶予になっている
事件の中には、かなりの数、本来であれば嫌疑不十分で裁定すべきものも含まれていると言えると思います」

と述べている元検事の弁護士がいる。

弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070127/1169824952

同弁護士は、本来であれば嫌疑不十分で裁定すべきものが起訴猶予になっている事件を「嫌疑不十分的起訴猶予」と呼び、
厳密には、嫌疑不十分にすべきようなものでも「起訴猶予」で落とす理由として、次の①~⑦を上げている。


不起訴はやむをえないものの、嫌疑不十分にまでするには抵抗を覚えるから


嫌疑不十分では不起訴裁定書(刑事裁判での無罪判決のようなもの)が長くなり書いていられないから


嫌疑不十分にすると、被疑者補償(被疑者補償規程)の要否を検討することになっているから(面倒なので)


警察が、嫌疑不十分という裁定主文になった際に、一種の捜査の失敗と捉える場合があって何となくかわいそうだから


警察官によっては、不起訴になるのはやむを得ないとしても、嫌疑不十分ではなく起訴猶予にしていただきたい、
と懇請してくる人も実際にいるから


不起訴裁定書を書く場合、理由のところで、嫌疑不十分の場合は、それなりに具体的な不起訴理由を、
証拠も引用しつつ書くので、骨が折れるから


起訴猶予の場合、理由の前に書いてある犯罪事実について、「事実は認められるが」と軽く書いて、その後に、
情状面について書いて行くことになるので、簡潔な内容で済むから

そして、最後に「こういう実情があるので、過去に不起訴になった事件について、
『起訴猶予』イコール『犯罪事実はきちんと証拠により認定され、起訴されれば有罪だった』と
決め付けてしまうのは、ちょっとどうかな、というのが、私の実感です」と述べている。

谷川擁護派が言う「起訴猶予なら犯行(名誉毀損)があった、つまり虚偽だったってことじゃないの?」

というのが、まさにこれ。こういう決め付けはダメと、元検察官の弁護士がバッサリ(笑)

また、同弁護士は「裁判官や弁護士の方々も『前歴』を見るときには、
そういう可能性もある、ということを念頭に置いて見たほうがよいでしょう」とも述べている。

柳原氏は「起訴猶予の場合は、実際には犯罪として認定されないので『前科』にはならないが、
本人の『前歴』として捜査機関の記録に残るため、本人が同様の行為を繰り返したり、
別件で起訴される場合には、それが情状証拠となる」と言う。

これ自体は間違った認識ではないが、落合弁護士は、「嫌疑不十分的起訴猶予」の場合、

本来「前歴」が付かない嫌疑不十分で裁定すべきものが、起訴猶予で落とされたため、結果的に前歴が付いただけであるから、
「前歴」を見るときは、柳原氏の言うような杓子定規にとるのではなく、もっと柔軟に考える必要があると言うのである。

最終の結論として、本紙編集部の見立てでは、

波田地氏の「不起訴処分」は、名誉毀損罪の免責される3要件を満たしていたがゆえの不起訴であり、
本来は「嫌疑不十分」を理由とすべきところであるが、

①~⑦のいずれか(もしくは複数)の理由で「起訴猶予」となった「嫌疑不十分的起訴猶予」である。
「前歴」も、本来は付くはずがなかったのであるから、その点を考慮すべきである。

以上