投稿者:JACK 投稿日:2016年 9月13日(火)21時27分15秒   通報
二 集団的自衛権と憲法

1 国際法の原則
武力不行使原則(国連憲章2条4項)

武力行使:国家又は国家に準ずる組織に対する実力行使

武力不行使原則の例外
●集団安全保障措置(憲章42条)
→発動要件:国連安保理の決議
●個別的自衛権の行使(憲章51条)
→発動要件:武力攻撃の発生(被害国独自の判断)
●集団的自衛権の行使(憲章51条)
→発動要件:武力攻撃の発生、被害国の要請(各国独自の判断)

2 憲法の原則
(1):作用法的な根拠規定の不在
憲法9条1項 国際紛争解決のための武力行使・戦争の放棄
憲法9条2項 軍編成権の否定、戦力不保持、交戦権の否定

第一論点:9条の禁止範囲は?
A説:「国際紛争解決のための」武力行使、戦力保有の禁止。
(「国際紛争解決のため」ではない武力行使は禁止していない。芦田修正説。)
B説:武力行使一般を禁じている。

↓B説を採る場合(日本政府・学界通説)。

第二論点:9条の一般禁止の例外はあるか?
B1説:例外規定は存在しない → 個別的自衛権違憲説
B2説:憲法13条が根拠となる → 個別的自衛権合憲説
憲法13条は、日本政府に対し、国内の安全(国民の生命・自由・幸福追求の権利)を保護する義務を課している。
↓ 他国防衛について、例外を許容した条文は?
存在しない。 → 集団的自衛権、国連軍参加は憲法違反。

*日本政府は、憲法9条の文言は「一見すると実力の行使及び保持の一切を禁じているようにも見える」ものだとする(注1)。
こうした憲法9条の理解は、安倍内閣の下でも維持されており、集団的自衛権の行使を一部容認したとされる2014年7月1日閣議決定でも、「憲法第9条は」「国際関係における『武力の行使』を一切禁じているように見える」文言であることを認めている(注2)。

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(注1)平成15年7月15日 「内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書」(小泉純一郎内閣総理大臣名義)
※閲覧の際は、shugiinの前に、『http://www.』をつけて下さい。
shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156119.htm
(注2)平成26年7月1日閣議決定
※閲覧の際は、casの前に、『http://www.』をつけて下さい。
(cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf)。