投稿者:大仏のグリグリのとこ 投稿日:2016年 5月18日(水)09時13分15秒   通報
さて、本門の涌出品に説かれる地涌の菩薩の人数や姿は、
今までの菩薩の範疇を遥かに越えたものでした。

地涌の菩薩は各自が六万恒河沙の眷属を率いています。その数はまさに「無量無辺」といっても言いでしょう。
また、地涌の菩薩の姿は極めて偉大な姿で描かれています。

たとえば、地涌の菩薩の身体は皆金色で三十二相(仏が具える理想的特長)を具え、
無量の光を放っていると説かれています。

三十二相は本来、仏や転輪聖王が具える徳で、通常の菩薩が持つものではありません。
それにもかかわらず、地涌の菩薩は三十二相を具えていると説いています。

このことから釈尊の滅後に法華弘通の使命を担う地涌の菩薩は、仏から退けられた従来の菩薩とは
全く次元が違う存在であり、法華経の涌出品から嘱累品までしか登場しない極めて特別な存在なのです。

さらに

「志念力堅固にして、常に智慧を勤求し、種種の妙法を説いて、其の心に畏るる所無し」(法華経四八七頁)、

「善く菩薩の道を学して、世間の法に染まざること、蓮華の水に在るが如し」(法華経四九二頁)、

「難問答に巧みにして、其の心畏るる所無く、忍辱の心決定し、端正にして威徳有り」(法華経四九三頁)

と地涌の菩薩の特徴が描かれています。

仏を目前にありありと見ることができない仏滅後の時代に、
しかも仏の在世の時以上に激しい迫害が起こるとされる悪世に、

法華経の真価を世界に宣揚していく無数の弘通者が必ず出現する――。

法華経の作成者は宗教的確信のうえから、遠い未来の担い手を「地涌の菩薩」と表現し、
必ず出現することを予言したのです。

このあと、

地涌の菩薩の代表たる四人(上行・無辺行・浄行・安立行)のリーダーたちが、民衆救済について釈尊と対話をします。

その光景を目の当たりにして、一番驚いたのは法華経の会座にいた弟子たちです。
その弟子たちの驚きを代表して、弥勒菩薩が釈尊に地涌の菩薩の因縁を説くように要請します。

これが有名な「弥勒の疑請(ぎしょう)」です。