投稿者:信濃町の人びと 投稿日:2016年 5月 8日(日)14時37分34秒   通報
池田大作全集(100巻)
最高協議会 (2006年3月17日)より③

戸田先生が、よく話してくださった中国の『十八史略』。そのなかに、唐の名君・太宗の言葉があった。

「人君の心はただひとつ、しかるに、その一心をなんとかしてかき乱そうとするものは、おおぜいいる。

勇力を誇示して自分を売りこもうとする者、弁舌巧みにいい寄ろうとする者、娼びへつらって機嫌をとろうとする者、嘘いつわりでだまくらかそうとする者、 嗜欲しよく (=嗜み好むこと)につけとんで誘惑しようとする者、このように、四方八方からいろいろな人間が、それぞれ自分を売りこもうとする。

だから、人君たるものが、少しでも気をゆるしてとれらのうちのひとりにでもつけいる隙をあたえたら最後、国はたちまちにして滅亡のせとぎわに立たされることになる」(『十八史略』4、花村豊生・丹羽隼兵訳、徳間書店)

いわんや、広宣流布の「将の将」たる者に、いささかたりとも私利私欲があれば、多くの同志を守り、励まし、幸福にすることはできない。

「すべて禍は上より起こるものである」(『言志四録』1、川上正光訳注、講談社)とは、江戸後期の思想家・佐藤一斎の警句である。

■ 学会は永遠に善人だけで進め

自分が先輩の立場になっても、「退く心」があってはならない。広宣流布に引退はない。最後の最後まで、わが使命を果たしぬくことだ。決して利己主義や、独りよがりになってはならない。そういう先輩のもとでは、後輩は育たない。

中米キューバの独立の英雄、ホセ・マルティは訴えた。
「正義を愛する心が失せ、義務などどうでもよいとなれば、勝利や栄光にかわって不名誉が跋扈し、権力は狂気と憎悪に満ちた道を歩むことになるのです」
(「キューバ革命を前にした共和制スペイン」青木康征訳、『ホセ・マルティ選集』2所収、日本経済評論社)

私どもで言えば、失ってはならないのは、「信心」である。「学会を愛する心」である。「師弟不二の魂」である。

それが、「どうでもよい」となった分だけ、広宣流布は遅れる。永遠に悔いを残してしまう。断じてそうならないために、今、あえて厳しく言うのである。

思想家の内村鑑三は「傲慢は罪悪中の罪悪である」
(『内村鑑三著作集』6、岩波書店)と述べている。

嫉妬や増上慢の心が、自分自身を破壊する。師弟に徹し、強き信心を貫くならば、乗り越えられない壁などない。

戸田先生が「学会は、善人だけでまとめてゆくのだ。絶対に悪人を幹部にしてはならぬ」と遺言したとおり、いちだんと「正義のスクラム」を強め、勝利また勝利の前進をしてまいりたい。

(東京牧口記念会館)