投稿者:あやちゃん 投稿日:2016年 8月29日(月)13時12分31秒   通報
聖教新聞 昭和50年(1975年)7月29日(火) 掲載

創価学会と日本共産党との「協定」について

秋谷副会長にインタビュー
…………………………………………………………

共闘なき共存へ ー
相互理解、話し合いで解決
昨日付本紙に発表した「日本共産党と創価学会との合意についての協定」は、日本の将来にわたって重要な意味をもつものである。そこで「協定」の基本精神、各項目の意義などについて、秋谷副会長に語ってもらった。

……………………………………………………
ー 創価学会と日本共産党の間で「協定」が結ばれたが、その基本的精神について。

秋谷 まず、二十数年間にわたり、とくに選挙のたびに起きた無用なマサツ、無意味な紛争を解消し、憎しみ合いをやめようということです。お互いに立場の違いを認め、相互の組織と運動の独立を侵さずに共存の可能性を確認したものです。それが何も、共闘を意図するものではないことは、前回の青木論文(7月16日付)でも既に明らかにしている通りです。
また、学会は平和と幸福のため従来以上に全面的に公明党を支援していきます。この「協定」が、政教分離を踏まえて、日本共産党との間に結ばれた以上、公明党の路線にかかわるものではないことは、当然ですし、7月15日夜の池田会長・竹入委員長の会談で双方合意確認された諸項目も全く変わるものではない。

ー 「信教の自由」についての「協定」の意味は ……。

秋谷 これは大変に大きな意味がある。それは「日本共産党は、布教の自由をふくむ信教の自由を、いかなる体制のもとでも、無条件に擁護する」とうたっている点です。幾多の社会主義国が宗教を敵視し、信教の自由に多くの制限を課してきた実例は、歴史上数知れないものがある。また、信教の自由を一応認めてはいても、いくつかの条件がついている。それを日本共産党中央委員会が、布教の自由を含めて「いかなる体制のもとでも、無条件に擁護する」と社会に表明したことは、日本の宗教界にとっても重要な歴史的証言として、将来にわたって日本共産党を拘束していくことになるでしょう。

…………………………………………………
学会の公明支援に
誹謗中傷行わぬ
ー 「協定」の第三項に「双方は、たがいに信義を守り、今後、政治的態度の問題をふくめて、いっさい双方間の誹謗中傷は行わない」とありますが、どのようなことを意味しているのですか。

秋谷 「政治的態度の問題をふくめて」とあるのは、学会が公明党を支援するということに対しても「政教一致である」といった類(たぐい)の誹謗中傷は、いっさい行わないということです。

ー 「両組織間の相互理解に最善の努力をする」とありますが……。

秋谷 これは、端的にいえば、憎しみ合い、泥仕合をしないということです。両組織間にまつわるトラブルは、話し合いによって解決するということです。

ー 「協定」の第四、五項では「民衆の福祉の向上」「世界の恒久平和」への努力がうたわれていますが、どのようなことを意図したものですか。

秋谷 ここで明確にしておかなければならないことは「それぞれの信条と方法によって……」「たがいの信条と方法をもって……」とその条件があることだ。学会としては、今までも独自の立場から、これらの人類共通の課題に取り組んできた。今後も、民衆の幸福と平和のための努力は、近視眼的なとらえ方ではなく創価主義を貫く立場で、従来と変わらぬ姿勢で進めていくことになろう。

………………………………………………
ファシズムの阻止は
中道勢力の拡大に

ー 第六項に「双方は、日本に新しいファシズムをめざす潮流が存在しているとの共通の現状認識に立ち……」とありますが「ファシズムをめざす潮流」とは?

秋谷 具体的にどの勢力を指すか、というよりも、現代社会の動向のなかに、ファシズムへの危険な潮流がみられるということです。「インフレはファシズムの温床である」といわれているように、長期的、慢性的インフレが、現在、日本列島を覆っていますし〝管理社会〟といわれる状況への〝個〟の埋没なども、この兆候でしょう。池田会長が第36回本部総会で「私どもがなによりも恐れなければならないのは、現在の様相が、あのナチスの台頭をもたらしたワイマール体制末期の状況に、あまりにも類似している点であります」と述べたように、そうしたファシズムの潮流から〝人間の尊厳〟を守り抜くことこそ、仏法者の崇高な使命といえましょう。
より具体的にいえば「協定」にあるファシズムの危機を未然に阻止するとは、左右の激突を止め、自由と民主主義を守る日本に安定した中道勢力を拡大することが最善の道である。学会は、この立場で左右を止揚しながらファシズムの危機を食い止めたい。

ー 共産党員の人たちが、入会を申し込んできた場合、どうすればいいですか。

秋谷 我々は、従来から政治的な意図や組織利用の目的で入会することを認めません。今回の「協定」でも前文に「相互の組織と運動の独立を侵さない」とある。もし、そのような意図をもって、組織のかくらんを計るようなことがあれば、それは協定に反することになる。私たちは、一人の人を根底から救う着実な折伏はするが、入会は厳格にとの方針を厳守してゆく。

ー 世間では今回のことを、創価学会と共産党とが手を結んだ、ととらえる向きもあるようですが……。

秋谷 それは誤りです。今回の協定は、創価学会と共産党が、相互の立場の違いを踏まえつつ、話し合いと理解を重ね、共存の可能性を探ったものであって、組織的共闘を行うとはいっていない。

ー 今回の「協定」は、昨年12月に結ばれたが、それがどうして7か月間も発表されなかったのですか。また、発表以外にまだ、合意事項的なものはありますか。

秋谷 「協定」である以上、こちら(学会)側が一方的に発表することはできないからです。また、この「協定」以外に何もありません。

ー これによって、公明党の路線が変わるのではないかという意見が一部にはありますが……。

秋谷 さきに触れたように、今回の「協定」は、公明党の政治路線の在り方や展望にかかわるものではまったくありません。したがって公明党が、共産党との間で、憲法三原理をめぐる憲法論争を続けていくことは、政党間の政策論争として自由であり、当然のことです。
故に、我々も日本の政治の展望を政党間で議論している憲法三原理論争の意義について肯定しています。今回のことによって、公明党の政治路線になんら変わりないことは、公明党幹部も繰り返し明言しているところです。