投稿者:信濃町の人びと 投稿日:2015年 9月24日(木)17時30分35秒   通報

池田大作全集(85巻)
創立の日記念第82回本部幹部会 (1994年11月12日)

より。過日の本幹で紹介されたスピーチ全文を4回に分割し掲載します。(1/4)

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■牧口先生「悪の結託を放置すれば社会は悪化」

牧口先生が、入信されたのは昭和三年(一九二八年)。五十七歳の時である。戸田先生も、同じ年、牧口先生に続いて入信されている。当時、二十八歳の青年であられた。
また、この年は、私が生まれた年でもある。
牧口先生は『創価教育学体系』の中で、こう記されている。

「法華経の信仰に入らなかったならば、余が善良なる友人知己のように、なるべく周囲の機嫌を損ねぬように、悪い事は見ても見ぬ振りをし、言いたいことも控え目にして、人に可愛いがられなければ損であるという主義を守っていられたであろう」
「けれども誰も彼もが皆この賢明なる主義であったなら、国家社会はついにどうなるべきであろう」(「教育改造論」、『牧口常三郎全集』第四巻、第三文明社)

他人との衝突を避け、悪を見て見ぬふりをする、事なかれ主義。だれもが皆、この姿勢で、ずるがしこく、″上手に″立ち回るようになれば、社会はどうなるか。

悪人がどんどんはびこり、善人が迫害される社会になってしまう。仏法者として、それを放置することはできない──。

ゆえに、先生は、「善の戦い」すなわち「悪との戦い」に、決然と立ち上がられたのである。「悪への挑戦」を開始されたのである。
″悪を見て、放置してはならない″──これが、真実の仏法の教えだからである。

「悪人は結託する」──牧口先生は、こう喝破された。

悪人は何かしら弱みをもっており、孤立していては安心できない。ゆえに、他人と共同し、とくに強者の保護のもとで、その身を守ろうとする、と。また共通の敵に当たるために、たやすく結束をする、と。
(「悪人は孤立しては安心してはいられないほどに生存上の欠陥をもっているがために、たちまち他人と共同し、ことに強者庇護のもとに在って、その身を防禦しようとするのである」「犯罪者は何処にあっても、常に戦々兢々として発覚を怖れるがゆえ、共同の敵に当たるためには、容易く結束をなしてそれにともなう窮屈や圧迫を忍ぶ」〈同前〉)

いつの時代も変わらぬ悪の方程式を、牧口先生は見抜かれていた。現代にも通じる、牧口先生の「哲学」であり、「予見」である。先生は、まことに不思議な、偉大な方であられた。

しかし、「悪人たちの結託」に対して、善良な人は、なかなか力を合わせることができない。それはなぜか。

「善人は自分に弱味のないので、孤立して対抗力を形成することをしないから圧迫され勝ちである」(「小学校長登用試験制度論」、同全集第八巻)
つまり、善人は悪人と違い、自分に弱みがないので、わざわざ団結しようとしないというのである。その結果、どうなるか。

「強くなってますます善良を迫害する悪人に対し、善人はいつまでも孤立して弱くなっている。一方が膨大すれば、他方はますます畏縮する。社会は険悪とならざるを得ないではないか」(前掲「教育改造論」)

結託し、どんどん強くなる悪の力。孤立し、ますます弱くなる善の力。それでは、社会はすさみ、暗くなる。険悪となっていく。現代の日本そして世界も、先生の言葉の通りになってしまったといえないだろうか。

■「善」は強く、「善の連帯」は無敵

こうした悪の結託を打ち破るためには、明確な形として、「戦う善の力」を連帯させなければならない。ゆえに牧口先生は、民衆の善なる力の結集を目指して、「創価教育学会」を創立されたのである。(拍手)

″理論や理屈だけではだめだ。現実のうえで、民衆が、正義に連なっていくために、何ものにも壊されない「善の連帯の組織」「正義の組織」をつくろう″

これが、学会の創立にこめられた、牧口先生、戸田先生の心であられた。
(昭和五年〈一九三〇年〉十一月十八日の『創価教育学体系』第一巻発刊の日をもって創立とした。その後、賛同者が増え、発会式は昭和十二年〈一九三七年〉に行われた)

戸田先生も、出獄され、戦後の荒野に一人立たれた時、まず「学会の組織」の再構築に手を着けられた。

組織の再建に奔走された。そこから、あらゆる一切の戦いを始められたのである。
戸田先生は、つねづね、「学会の組織は戸田の命よりも大事だ」と言われていた。

私もまた若き日より、「組織」の重要性に注目していた。ちょうど、そのころは、労働組合などのさまざまな組織が活発に活動していた。
入信前のことである。戦後間もないころ、何人かの青年たちと一緒に勉強会を開いた。その折、ある大学の教員が語っていた。

「論ずることも大切かもしれない。しかし、これからは組織をつくったほうが勝つ。どんな理論をもっていても、組織をつくったものにはかなわない」と。

この言葉は、今も忘れられない。そのような時に、私は戸田先生に出会った。学会という組織に出あったのである。戸田先生が学会の再建を始められたころであった。

「この人は、あの学者の言ったことを実行している。不思議な人だ」──こう私は直感した。青年の鋭き眼で、戸田先生のすごさを見つめたのである。

ともあれ、我が創価学会は、今や、「世界一の民衆の組織」になった。

私どもは、牧口先生の「創立の志」を受け継いで、″善と良識の連帯″を、世界に、広く、強く、結んでいる。さらに、このスクラムを広げてまいりたい。(拍手)

邪悪の魔性が、いくら束になろうと、創価学会、SGI(創価学会インタナショナル)は、びくともしない。

この学会の今日の栄光は、すべて牧口先生が命を賭し、戸田先生が命を賭して、権力の魔性と戦い抜かれた「功徳」であることを知っていただきたい。(拍手)