投稿者:まなこ 投稿日:2015年10月21日(水)22時33分35秒   通報
■ 法華経全体が「師弟の儀式」

遠藤: 嘱累品というと、どうしても神力品(での上行菩薩等への付嘱)との対比で、「迹化の菩薩への付嘱」という印象が強いのですが、本化・迹化あわせた「すべての菩薩への付嘱(総付嘱)」なんですね。

名誉会長: そうです。だから、その上首、リーダーは、やはり上行菩薩です。
一往は「迹化の菩薩への付嘱だが、再往は上行菩薩が中心です。
だから「三回、頭をなでる」ことの本義も、弟子の頭に「南無妙法蓮華経」の「明珠」を与えるところにあった。

須田: 安楽行品の「髻中明珠の譬え」(法華経p467)を思い出しますね。
<髻(髪を頭の頂きに集めて束ねたもの。「たぶさ」)の中に大切にしまってある一番大切な宝珠。転輪聖王が、戦いもっとも功績のあった者にだけ、これを与えるという。法華経こそ、仏が与える無上の宝珠に当たる>

遠藤: 要するに、御本尊のことです。

斉藤: 御本尊を弘めていきなさいというのが嘱累品の本意です。

名誉会長: そう。日蓮大聖人の御出現を予告しているのです。

斉藤: 上行菩薩への付嘱は、「本尊付嘱」あるいは「法体付嘱」等と呼ばれています。
法華経の付嘱に二通りあって、一つは「経巻付嘱」 —- 迹化のために、この二十八品を付嘱しました。
一方、本化地涌の菩薩のためには、寿量品の文底にあって、一切諸仏がそれを「本尊」として修行した法体 —- 久遠元初の南無妙法蓮華経を付嘱したのです。

名誉会長: 付嘱の儀式を通して、末法に、この御本尊を所持している「人」を指し示し、最大に称賛したのです。
法華経は釈尊の遺言です。自分の死後に、だれが、どうやって人類を救っていくのか。それを指し示すために説かれた。具体的には「法師品」(第十章)から菩薩への呼びかけが始まり、続いて「宝塔品」(第十一章)で、巨大な宝塔が出現した。そして大衆を虚空に引き上げ、「大音声」で呼びかけます。
「誰か能く此の娑婆国土に於いて、広く妙法華経を説かん。今正しく是れ時なり。如来久からずして、当に涅槃に入るべし。仏此の妙法華経を以って付嘱して在ること有らしめんと欲す」(法華経p411)

斉藤: そして、虚空会でずっと儀式が続いて、この「嘱累品」(第二十二章)で、虚空会の儀式が終わります。

須田: 弟子たちの「ご安心ください」という返事を聞いた釈尊は、十方から集まっていた諸仏を「本土にお帰りください」と言って帰し、「宝塔も元通りにしてください」と言って、虚空会が終わります。

遠藤: こうして見ると、虚空会はまさに「付嘱のため」にあったことが、はっきりわかりますね!

名誉会長: 法華経全体が、壮大な「師弟の儀式」なのです。師弟を離れて、法華経はわからない。