2014年9月5日 投稿者:戸山団地 投稿日:2014年 9月 5日(金)10時57分18秒 学会幹部が矢野氏の不安・心配煽ったと認定 事の発端は、平成二十年五月十五日発売の『週刊新潮』(五月二十二日号)に掲載された「『矢野絢也』を窮鼠(きゅうそ)にした『創価学会』の脅迫(きょうはく)と誹謗(ひぼう)中傷」と題する記事。 その内容は、平成二十年五月十二日、元公明党委員長・矢野絢也氏が、谷川佳樹の他、創価学会最高幹部七名を相手取って起こした損害賠償請求訴訟(谷川らの脅迫によって、矢野氏が無理やり謝罪させられ、評論活動を引退させられた、として提起された裁判)の内容について、訴状を元に、矢野氏のコメントを交(まじ)えながら報じたものであった。 その記事は、矢野氏の訴状の中から 「被告森井は、2回にわたり原告(※矢野氏)に対して『土下座しろ』と迫(せま)り、被告谷川は『人命に関わるかもしれない』『息子さんは外国で立派な活動をしている。あなたは息子がどうなってもいいのか』という趣旨のことを言って原告を脅迫した」 との一文を引用し、さらに、矢野氏の、 「土下座しろと言ってきた者には、そういうことを言うもんじゃない、とたしなめました。しかし、息子がどうなってもいいのか、などという趣旨のことを言われ、家族にまで危害が及ぶ恐怖を感じたのです。それで、『文春』に書いた手記についての謝罪と、今後、評論活動は一切しませんと約束させられてしまいました」 とのコメントを紹介していた。 これに対し谷川は、自分が「人命に関わるかもしれない」「息子さんは外国で立派な活動をしている。あなたは息子がどうなってもいいのか」等と発言した事実はない、として、新たに東京地方裁判所に訴えを起こし、 「本件記事は、原告(※谷川)が被告矢野に対して、要求に従わなければ被告矢野やその家族の生命に危害を加えるという脅迫を行なったとの事実を摘示し、一般読者に対し、原告が暴力団まがいの脅迫行為、犯罪行為を行なったとの印象を抱かせるものであり、原告の名誉を毀損することは明白である」 と主張して、新潮社および矢野絢也氏らに対し、慰謝料と弁護士費用など一千一百万円の支払いと、謝罪広告の掲載を求め、提訴したのである。 そして谷川側は、事件当日の模様を記録した証拠であるとして、弓谷全国男子部長(当時)が録音した、谷川ら学会幹部と矢野氏とのやりとりを録音した音声データと、その反訳文を提出した(これは、矢野氏に了承を得ることなく〝隠し録り〟した音声データであった)。 そのデータに拠(よ)るかぎり、谷川の「人命に関わるかもしれない」との発言は録音されていない(※これが、矢野氏と新潮社らに三十三万円の支払い義務を認める判決理由となった)のだが、矢野氏は、この音声データが改ざんされたものであるとして、事件当日、弓谷以外にも〝隠し録り〟をしていた(と谷川も認めている)森井関西青年部長(当時)の音声データを提出するよう求めたが、森井の音声データが法廷に提出されることはなかった。 しかし裁判所は、弓谷の音声データだけでも、谷川らによる矢野への脅迫があったことは認定できる、として、以下のごとくの判断を下したのである。 「原告(※谷川)は、本件手記のようなものを絶対に書かないことを被告矢野に確認した直後、突然、『息子さんも頑張っておられる』といって被告矢野の息子の話を持ち出し、被告矢野は、『その連中だけは、ひとつ』と述べている。原告がどのような意図で、突然、被告矢野の、息子の話を持ち出したのかは、原告の供述によっても判然としないが、当時七十三歳である被告矢野が、海外からの帰国直後に、三十代から四十代の原告ら五人の創価学会員に囲まれ、本件手記について、逐一問い質(ただ)され、本件手記のようなものは絶対に書かない旨述べさせられた、などの状況下であることなども考慮すれば、突然、このような話を持ち出されれば、被告矢野の対応次第では、息子ら家族に何らかの影響が及ぶ事態となると受け取ることは、ごく自然であり、被告矢野が、『その連中だけは、ひとつ』と述べていることからしても、原告らの発言から、被告矢野は、原告らの要求に従わないと、家族に何らかの危害が及ぶ恐怖を感じたことが推認される。 さらに、被告矢野が『その連中だけは、ひとつ』と述べた後も、原告は、『ただですね、やっぱりこれは、奥様も息子さんも、矢野さんの奥さんであり、矢野さんの息子さんなんですよ』『ですから、矢野さんがどうされるかってことで、それは、皆な、これはもう、避(さ)けられないですよ、これは』などと述べており、これら発言の意図は、原告の供述等からも必ずしも明らかではないが、客観的には、被告矢野の家族がどうなるかは被告矢野の行動次第であるといった、被告矢野の不安・心配を煽(あお)るような発言である、といわざるを得ない。 そうすると、原告らの発言から、被告矢野が、息子ら家族に危害が及ぶ恐怖を感じたことが認められ、原告が『あなたは息子がどうなってもいいのか』といった趣旨のことを言って被告矢野を脅迫したという点は、真実であると認められる。」 「そもそも本件面談の目的は、本件手記について、同年四月に被告矢野にさせた、西口らへの謝罪や、池田大作会長あての謝罪文の提出では足りず、被告矢野に直接面談して、本件手記について、問い質し、謝罪させ、本件謝罪文に署名をさせることであったというべきであり、実際の面談も、前記1(2)ウのとおり、本件手記の内容や、本件手記を出したこと自体が間違いであったことなどを、繰り返し被告矢野に言わせるなど、あらかじめ用意した本件謝罪文の内容どおりに被告矢野に言わせる形で進められたと認められるのであって、これらの事実からすれば、被告矢野が自ら任意に本件手記について謝罪した、というよりも、被告矢野は、原告ら創価学会側の意図するとおりに謝罪させられ、その旨の謝罪文に署名させられたと受け取っており、また、そのように客観的に評価することができるというべきであり、本件手記について謝罪をさせられたとの点は、真実であると認められる。」 「被告矢野は、原告らの意向に応じながらも、やや曖昧(あいまい)な形で終始しようとしていたところ、原告らは、被告矢野の妻や息子らのことに話を及ばせながら、被告矢野に対し、明確な意思表示や態度決定を迫ったものであり、被告矢野は、これを拒否することができず、曖昧な形にとどまることが許されず、原告らの意向に従わざるを得なくなり、また、本件謝罪文に署名せざるを得なかったものと認められる。このように、曖昧な形で終始しようとしていた被告矢野は、家族に何らかの危害が及ぶ恐怖を感じて、評論活動をやめる、と最終的に確約することを余儀なくされたと評価することができる。」 つまり裁判所は、谷川側が提出した証拠に基づき、谷川の「人命に関わるかもしれない」との発言だけは見出せないとしたものの、矢野氏が主張してきた「息子がどうなってもいいのか、などという趣旨のことを言われ、家族にまで危害が及ぶ恐怖を感じたのです。それで、『文春』に書いた手記についての謝罪と、今後、評論活動は一切しませんと約束させられてしまいました」とのコメントについて、その真実性を明確に認めたのである。 つまり、谷川ら創価学会の最高幹部が、「暴力団まがいの脅迫行為、犯罪行為を行なった」(谷川の訴状より)ことが、司法の場で認定されたということだ Tweet