投稿者:大仏のグリグリのとこ 投稿日:2017年 8月12日(土)09時57分16秒   通報 編集済
〝創価学会の基礎思考Ⅱ――戸田城聖の「獄中の悟達」とその後――〟

西山 茂
まとめ

戸田の経歴や創価学会の政治進出などの議論を除き、この稿の議論を箇条書き的にまとめるとすれば、次のようになる
であろう。
①1944年の3月と11月の2回、戸田は、獄中での神秘体験(「獄中の悟達」、筆者のいう第1回目の回心)を経験
した。3月の神秘体験では、無量義経の徳行品にある34の「非」の意味について、「仏とは生命なり」とういう理
解を得た。11月の神秘体験では、法華経の従地涌出品を読誦している時に、虚空会の会座に加わっている不思議な
体験のなかで、「我、地涌の菩薩なり」という自覚とともに、末法における法華経の広宣流布の使命を感じた。
②「仏とは生命なり」という戸田の理解は、戦後に「生命論」としてまとめられて、『折伏経典』の冒頭に載せられ、以
後、「生命哲学」と呼ばれて、「創価仏法」の基底となった。
③戸田の「生命論」は、基本的には、生命の不滅と輪廻転生を説く通仏教的な三世(前世・現世・来世)の生命観と、
日本人と日本宗教の多くが基層にもっている生命主義の考え方(万物を宇宙大生命の表現として捉える思考法)に
よって貫かれていて、それ自体は日蓮正宗的なものでも創価学会独自のものでもない。
④創価学会が日蓮正宗からの在家主義的な独自性を強める「昭和52年路線」の打ち出しが近づくにつれて、戸田の
獄中の神秘体験は池田大作らによって「創価仏法の原点」にまで押し上げられて、「獄中の悟達」という名称を与え
られたが、これは創価学会の独自ルーツを模索する一つの試みであった。
⑤だが、日蓮正宗内の「正信覚醒運動」等によって、創価学会の「昭和52年路線」の全貌が明らかにされると、
「獄中の悟達」への日蓮正宗側からの厳しい批判が出て、創価学会の従来の見解は撤回された(その後に復活)。
⑥「獄中の悟達」への日蓮正宗側の批判の要点は、伝統法義に違反している「悟達」や「創価仏法」などの用語批判
と、その内容が久遠元初の悟りとは程遠い法華経の迹門以前のものであるという悟りのレベルに関する批判、の二つ
であった。