投稿者:寝たきりオジサン 投稿日:2017年 1月 2日(月)13時51分23秒   通報
(聖教2011/10/24)
◎宮城県南三陸町 山岸さん(支部副婦人部長78)
津波は、忘れたよ。振り向いても仕方ないからね。明日に向かって進むだけです。でもね。最初はしばらく、題目もあげれなくなってね。家も流されて、お父さん(夫・明善さん)の写真も、思い出の品も全部流されて……。途方に暮れました。

目の前が真っ暗のまま、鳴子町の鳴子ラドン温泉に2次避難したの。4月5日でした。

そこで、鳴子支部の同志と出会いました。声かけてくれて、励ましてくれて。「パッチワークの勉強してる」って言うと、次の日、道具一式を届けてくれてね。いっしょにお茶も飲んだな~。そしてね、私より年配の人が、「頑張っペし」って、背中さすってくれて。「ぼんやりしてられない。頑張んなくちゃ」って、前を向けたんですよ。

昭和42年(1967年)の入会です。お父さん、酒が大好きだったから、私、普通の家庭にあこがれて。「何でもかなう」って言うから信心しました。その時、婦人部の先輩が「20年後の自分に」って、タイムカプセルを勧めてくれたの。

お父さんの洒の量は減らなかったけど(笑い)、平成19年に、前立腺がんで旅立つまで、それはそれは優しい人になりました~。

いつも、鞄に入れてるの。池田先生のメッセージ。

断じて負けるな!
勇気を持て!
希望を持て!

先生の叫びが聞こえるようで。今月から、仮設住宅(第2自治会)の庶務会計として頑張ってます。
そう言えば、一つだけ津波に持ってかれなかった物があるんだ。ほれ、この指輪。結婚当時に、お父さんからもらったの。「3000円の指輪だ。今はまだ本物は買えんから、これで勘弁してくれ」って、照れくさそうにね。当時は、ほんと貧乏だったからね~。

うれしかった~。だから、今でもこの指輪してんの。つらい時、指輪を眺めて、「お父さん、負げねぇよ」って。そしたら、お父さんの笑った顔が浮かんでくるよ。ほんと、タイムカプセルに書いた通りです。――あたたかい家庭を作りたい。