投稿者:大仏のグリグリのとこ 投稿日:2014年12月27日(土)08時50分27秒  

竜口の法難の意義を語られた後、大聖人は「勧持品」について詳細に語られていきます。
ここで「勧持品」全体の内容を見ていきたいと思います。
最初に菩薩たちの誓願が語られ、他の菩薩たちも次々に決意を述べます。
そして、三類の強敵について「二十行の偈」としてその本質に言及していくのですが、
これらはいずれも菩薩たちの誓いの言葉として語られています。
そして、具体的に迫害の構図を示し、再び弟子たちの決意で終了します。

では本文です。
「勧持品に云く、唯、願くは慮したもうべからず。
仏滅度の後、恐怖悪世の中に於て我等当に広く説くべし・・・・
諸の無智の人の悪口罵詈等し及び刀杖を加うる者有らん。
我等皆、当に忍ぶべし」(二二四頁)

――世尊、どうか心配しないでください。
仏が入滅された後、私たちが必ずこの法華経を持ち、説いていきますから・・・
その時、人々は善根が少なく、慢心が多いためになかなか教化できないでしょう。
でも私たちは、勇敢に耐え忍び、身命を惜しまず法華経を語り抜いて参ります――
という弟子の決意から始まります。

弘教が困難な娑婆世界でこそ命を惜しまず戦おうという「不惜身命」が語られ、
続いて他の多くの弟子たちも次々と決意を述べていきました。

しかし、後に続いた彼らの決意と、
最初の弟子たちの決意には決定的な違いがあったのです。
最初に決意を述べた弟子たちは、釈尊の教え通り「この娑婆世界で戦う」と決意します。

ところが後に続いた他の弟子たちの決意は
「娑婆世界は人心が乱れていて、やりにくい。他の国土でがんばります」と述べたのです。
つまり、慢心を懐き、徳が薄くて、怒りっぽく、心がひねくれて曲がっているから――
と娑婆世界の人々の欠点を並べていきました。

この部分を天台は「初心者の菩薩だから、このような悪人ばかりがいる悪世の弘教には耐えられないのだ」と解説しています。

「他の国でがんばる」というのは、
人間誰もが持っている「大変な所は避けよう」という逃避の一念の表れです。