投稿者:信濃町の人びと   投稿日:2015年 4月30日(木)12時49分31秒     通報 編集済
池田大作全集89巻より
第25回本部幹部会 (1998年8月27日)⑤

南米のスイス・コチャバンバに残る女性たちの勇気

広大な南米大陸のほぼ中央に「ボリビア共和国」がある。ボリビアには、コチャバンバ市という大変に有名な都市がある。

「南米のスイス」と謳われる風光明美な高原都市である。標高二五六〇メートル。各国からも大勢の観光客が訪れている。すごしやすい気候で、「世界のあこがれ」の天地である。

光栄にも、このコチャバンバ市から「名誉市民」称号を授与したいという連絡をいただいた。(拍手)「外国人初の栄誉」と、うかがっている。
ボリビアはじめ全世界のSGI(創価学会インタナショナル)メンバーを代表し、謹んで受けさせていただきたい。(拍手)

この美しい高原都市には、独立戦争の際、女性たちの力で戦い抜いた壮絶な歴史が残されている。(G・Mブルーニョ『ボリビア――歴史と詩』。参照)

一八一二年の五月のことである。三世紀にわたる長い植民地支配に対し、コチャバンバでも、人々が抵抗に立ち上がった。しかし、その動きは、すぐさま阻まれる。圧倒的な兵力を誇る敵軍が、町のすぐそばまで迫ってきた。
勇敢な男たちは、捨て身で戦った。しかし、壊滅的な敗北――。

そこで、生き残った男たちは、敵軍と取引をした。独立運動の中心者と武器を引き渡すから、その代わりに、ほかの人間の命は助けてくれ――と。

ところが、女性たちは、これを「裏切り」と見た。
ある女性は憤然と叫んだ。

「この地に、わが身をなげうって戦う男がいないのならば、私たち女性が戦いましょう! 女である私たちが、子どもたちや、兄弟姉妹、そして老人たちとともに、敵を迎え撃ってみせましょう!」

女性たちのこの「戦う心」が、「恐れなき心」が、周囲の心を動かした。
「正義のために戦おう」と同志が立った。「勇気を奮い起こそう」と人々が続いた。
そういうものである。ひとつの方程式である。

戦う民衆の陣列には、幼子を抱えた母たちも、老いたる母たちも、勇気をもって加わった。

五月二十七日、戦闘が始まった。敵軍の兵力は桁違いだった。しかし、女性たちは一歩も引かない。最後の最後まで勇敢に戦い抜いた。

死体の山に一人残った白髪、盲目の母がいた。「ひざまずけ!」と、敵兵が銃口を向けた。立ち向かう武器はない。
彼女は、傷ついた胸からあふれ出る血を手でぬぐい取るや、敵兵の顔めがけて投げつけた。

一方で、自分だけは助かろうと逃げ去っていった男たちもいた。日ごろは、いばり散らしていた連中だった。
人間の真価は「いざ」という時に出る。

「いざ」という時、往々にして男性は弱い。
臆病である。これに対し、女性は強い。勇敢である。

コチャバンバの人々は、力及ばず、ついに敗北した。女性たちは、それぞれの戦闘の場で凛然と殉じていった。
この女性たちの「生」と「死」は、「永遠の模範」として、今もボリビアの人々の心の中に生き続けている。

戦闘が行われた「五月二十七日」は「ボリビアの母の日」に制定されている。その舞台となった丘には、彼女たちを顕彰する像が毅然と建っており、愛する故郷の街並みを見つめている。
百八十六年前のこの史実を知った時、私は仏法者として、彼女たちの冥福を心から祈った。
地域に根を張れ、地域革命の先頭に立て
権力の魔性を恐れず、勇敢に立ち向かう庶民ほど神々しい存在はない。その人こそ「無冠の女王」である。「無冠の帝王」なのである。

ボリビアSGIのメンバーも、地域に、社会に、友好の輪を一生懸命に広げておられる。素晴らしい貢献と活躍をされている。

その模範は、やはり婦人部。壮年部も青年部も「婦人部に続け!」が合言葉という(爆笑)。
前大統領のサンチェス・デ・ロサダ氏の夫人も長年、親しく婦人部と交流を結んでくださっている。大統領夫人当時、婦人部の総会に参加されたこともある。

先月は、ボリビアの有力紙(「エル・デベール」紙、七月十五日付)で、婦人部の地域貢献の活動が、一ページを使って大きく特集された。「人間愛を強める活動」として称賛されていた。どこの国でも、婦人部は本当に偉大である。(拍手)

人類の歴史のなかには、崇高な母たちの「叶わなかった願い」が無数にある。その母たちの悲願を受け継ぎ、実現させていく。私たちSGI運動の目的も、ここにある。

では、そのためには何が必要か。
まず、「わが使命の地域」で勝つことである。断じて勝つことである。

大きいことを言うよりも、足下の「地域」で着実に勝ち抜くことである。ここに、世界の民衆の勝利と栄光に通ずる道がある。今いる場所を「本有常住」の常寂光土に変えていく。ここに、広宣流布の根本の原理がある。

特に男性諸君は、「地域に根を張れ」「地域革命の先頭に立て」と申し上げたい。(拍手)
女性の皆さま、ぜひ″監視″をお願いします(爆笑)。

誉れある初代の「地区婦人部長」、初代の女子部「ヤング・リーダー」を、がっちりと支えながら、仲良く、楽しく、晴れ晴れと「地域革命」を推進してまいりましょう!(拍手)

**********************
■第25回本部幹部会 (1998年8月27日)①
http://6027.teacup.com/situation/bbs/24208

■第25回本部幹部会 (1998年8月27日)②
http://6027.teacup.com/situation/bbs/24221

■第25回本部幹部会 (1998年8月27日)③
http://6027.teacup.com/situation/bbs/24222

■第25回本部幹部会 (1998年8月27日)④
http://6027.teacup.com/situation/bbs/24237