投稿者:河内平野  投稿日:2014年11月14日(金)09時05分29秒    通報
ずっと以前から悪いと思っていたなら、今まで、ほめあげたり、
主人の寄進を受け取っていたのはおかしいではないか。

自分の悪がばれてしまったもので、突然、国家の《法》を厳格に守る「神聖な義務」などと言いだし、
自分の悪事を知っている《邪魔者》たちを追放しようと策略を始めたのだ。

まず財産を返してから、文句を言ったらどうか?――と、この賢者(主人の義兄)は、ぺてん師を問いつめるのである。

もともと主人には何の罪もない。
むりやり罪人に仕立てて追放しようとしても、つじつまが合わないのは当然である。

タルチュフは、言葉に詰まった。
言葉に詰まれば、あとは実力行使しかない。

権力を使う。
警察に向かって、《こいつらを黙らせてください。さあ、逮捕だ! 追放だ!》

主人は絶体絶命である。
ところが、劇では急転直下、いかさま師のほうが逆に逮捕されてしまう。

国王に訴えたことで、かえって自分の素性を調べられ、
隠していた悪行がぞろぞろ出てきて、名うての詐欺師だとわかってしまったのである。

また国王は、公平に事件を見て、《こんな忘恩と裏切りは許しがたい》と、タルチュフを捕らえるよう命じたのである。

こうして《道理》が勝利を収め、ハッピーエンドで幕がおりる。

【海外派遣メンバー、各部代表者協議会 平成三年四月十二日(全集七十六巻)】