投稿者:赤胴鈴之助 投稿日:2016年 7月 2日(土)10時11分0秒
四条金吾殿御返事(しじょうきんごどのごへんじ)
世雄御書(せおうごしょ)
執筆(しっぴつ)建治三年 (けんじさんねん)。ごじゅうろくさい。 p1165
ごもん、あらあらうけたまわりて、ながきよの、あけ、とおきみちを、かえりたるがごとし、それ、ぶっぽうともうすは、しょうぶをさきとし、おうほうともうすは、しょうばつをもととせり、 ゆえに、ほとけをば、せおうとごうし、おうをば じざいとなずけたり、なかにも、てんじくをば、がっしという、 わがくにをば、にほんともうす、いちえんぶだい、はちまんのくにのなかに、だいなるくには、てんじく、しょうなるくには、にほんなり、なの、めでたきは、いんど、だいに、ふそう、だいいちなり、ぶっぽうは つきのくにより、はじめて、ひのくにに、とどまるべし、つきは、にしよりいで、ひがしにむかい、ひはひがしより、にしへいくこと、てんねんのことわり、じしゃくと、てつとかみなりと、ぞうげとのごとし、だれか、このことはりを、やぶらん。――――
この、くにに、ぶっぽうわたりし、ゆらいをたづぬれば、てんじんしちだい、ちじんごだいすぎて にんのうのだいとなりて だいいち じんむてんのう、ないしだいさんじゅうだい、きんめいてんのうと、もうせし、おう、おわしき、くらいにつかせ、たまいて、さんじゅうにねん、よをおさめ、たましに、だいじゅうさんねん、みずのえさる、かんなづき、じゅうさんにち、かのととりに、このくにより、にしに、くだらこくと、もうす、しゅうあり、にほんこくの、だいおうの、おちぎょうのくになり。
そのくにの、だいおう、せいめいおうと、もうせし、こくおうあり、ねんぐを、にほんこくに、まいらせし、ついでに、こんどうの、しゃかぶつ、ならびに、いっさいきょう、ほっし、あまなどをわたし、たりしかば、てんのう、おおいによろこびて、ぐんしんにおおせて、せいばんの、ほとけをあがめ、たてまつるべしや、いなや、そがのおとど、いなめのしゅくねと、もうせし、ひとのいわく、 せいばんのしょこく、みなこれをらいす、とよあきやまと、あに、ひとり、そむかんやともうす。――――
もののべの、おおむらじ、おこし、なかとみのかまこなど、そうしていわく、わがこっか、てんかに、きみたるひとは、つねにてんちしゃそく、ももやそかみを、しゅんか、しゅうとうに、さいはいするを、こととす、しかるを、いまさらあらためて、せいばんのかみをはいせば、おそらくは、わがくにのかみ、いかりをなさん、とうんぬん。
そのときに、てんのう、わかちがたくして、ちょくせんす、このことを、ただこころみに、そがのおとどにつけて、ひとりにあがめさすべし、たにん、もちいることなかれ、そがのおとど、うけとりて、おおいによろこび、たまいて、このしゃかぶつを、わが、きょじゅうの、おはたともうす、ところに、いれまいらせて、あんちせり。
p1166
もののべのおおむらじ、ふしぎなりとて、いきどをりしほどに、にほんこくにだいえきびょうおこりて、しせるもの、たいはんにおよぶ、すでに、こくみんつきぬべかりしかば、もののべのおおむらじ、すきをえて、このほとけをうしなうべきよし、もうせしかば ちょくせんなる、はやく、たこくのぶっぽうをすつべし、うんぬん、もののべのおおむらじ、おんつかいとして、ほとけをばとりて、すみをもっておこし、つちをもってうちくだき、ぶつでんをば ひをかけて、やきはらひ そうにをば、むちをくわう。
そのとき、てんにくもなくして、おおかぜふき、あめふり、だいり、てんぴにやけあがって、だいおう、ならびにもののべの、おおむらじ、そがのおみ、さんにんともに、えきびょうあり、きるがごとく、やくがごとし、おおむらじは、ついにいのちたえぬ、そがと、おうとは、からくして、そせいす、しかれども、ぶっぽうを、もちゆることなくして、じゅうくねんすぎぬ。――――
だいさんじゅういちだいの、びだつてんのうは、きんめい、だいにのたいし、おさむ じゅうよねんなり、さうのりょうしんは、ひとりは、もののべのおおむらじが、こにて、ゆげのもりや、ちちのあとをついで、おおむらじに、にんず、そがのすくねのこは、そがの、うまことうんぬん、このおうの、みよに、しょうとくたいし、うまれたまへり、ようめいの、みこ、びだつのおいなり、おんとしにさいの、にがつ、ひがしにむかって、むめいのゆびをひらいて、なむぶつと、となへたまへば、おんしゃり、みてにあり、これ、にほんこくの、しゃかねんぶつの、はじめなり、たいし、はちさいなりしに、はちさいのたいしいわく「さいごくのしょうにん、しゃかむにぶつの、いぞうまっせに、これをたっとめばすなわち、わざわいをけし、ふくをこうむる、これをあなどれば、すなわち、わざわいをまねき、いのちをちぢむ」とううんぬん。
おおむらじ、もののべの、ゆげ、すくねのもりやなどいかりて、いわく「そがは、ちょくせんをそむきて、たこくのかみを、らいす」とううんぬん、。また、えきびょう、いまだやまず、じんみんすでにたえぬべし、ゆげもりや、また、これをかんそうす、うんぬん、ちょくせんにいわく「そがのうまこ、ぶっぽうをこうぎょうす、よろしくぶっぽうを、 しりぞくべし」とううんぬん。
これに、もりや、なかとみのおみかつみ、おおむらじなど、りょうしんと、てらに、 むかって、どうとうを、きりたおし、ぶつぞうをやきやぶり、てらには、ひをはなち、そうにの、けさをはぎ、むちをもってせむ、また、てんのうならびに、もりやうまこなど えきびょうす、そのことばにいわく「やくがごとし、きるがごとし」また、かさおこる、ほうそうという、うまこ、なげいていわく「なお、さんぽうをあおがん」と、ちょくせんにいわく「なんじ、ひとりおこなえ、ただ、しょにんを、たてよ」とううんぬん、うまこ きんえつし、しょうじゃをつくりて、さんぼうを、あがめぬ。――――
てんのうはついに、はちがつじゅうごにち、ほうぎょ、うんぬん、このとしは、たいしは、じゅうしなり、だいさんじゅうにだい、ようめいてんのうのおさめ、にねん、きんめいのたいし、しょうとくたいしの、ちちなり。
p1167
おさめ、にねん、ひのとひつじ、うつきに、てんのうえきびょうあり、みかどちょくしていわく「さんぼうに、きせんとほっす」うんぬん、そがのおおおみ、みことのりにしたがうべしとて、ついに、ほっしを、ひいてだいりにはいる、ほうこくのほっし、これなり、もののべのもりや、おおむらじなど、。おおいにいかり、よこしまに、にらんでいわく、てんのうを、えんみすと、ついに、みかど、かくれさせたもう、さつきに、もののべのもりやがいちぞく、しぶかわのいえに、ひきこもり、たぜいを、あつめぬ。
たいしと、うまこと、おしよせて、たたかう、さつき、みなつき、ふみつきのあいだに、よんかど、かっせんす、みたびは、たいしまけたもう、だいよんどめにたいし、がんを、たてていわく「しゃかにょらいの、おんしゃりの、とうをたて、してんのうじをこんりゅうせん」と、うまこ、ねがいていわく「くだらよりわたすところの、しゃかぶつをてらをたてて、すうちょうすべし」とうんぬん、ゆげ、なのっていわく、わが、はなつやにはあらず、わがせんぞ、すうちょうの、ふつのだいみょうじんの、はなちたもうやなり」と、このやはるかにとんで、たいしのよろいにあたる、たいしなのる「これはわがはなつ やにはあらず、してんのうの、はなちたもうやなり」とて、とみのいちいともうす、とねりに、いさせたまへば、やはるかにとんで、もりやがむねにあたりぬ、はだのかはかつ おちあいて、くびをとる、このかっせんは、ようめいほうぎょ、すしゅん、いまだくらいにつきたまわざる、そのちゅうげんなり。――――
だいさんじゅうさん、すしゅんてんのう、くらいにつきたもう、たいしはしてんのうじをこんりゅうす、これ、しゃかにょらいのおんしゃりなり、うまこは、がんごじともうすてらを、こんりゅうして、くだらこくより、わたりてそうらいし、きょうしゅしゃくそんをすうちょうす、いまのよに、せけん、だいいちのふしぎは、ぜんこうじのあみだにょらいという、おうわくこれなり、また、しゃかぶつにあだを、なせしゆへに、さんだいの、てんのう、。ならびに、もののべの、いちぞく、むなしくなりしなり、またたいし、きょうしゅしゃくそんのぞう、いったい、つくらせたまいて、がんごじに、こせしむ、 いまのたちばなでらの、ごほんぞんこれなり、これこそ、にほんこくにしゃかぶつ、つくりしはじめなれ。――――
かんどには、ごかんの、だいにのめいてい、えいへい、しちねんに、こんじんのゆめをみて、はかせさいいん、おうじゅんなどの、じゅうはちにんを、がっしにつかわして、 ぶっぽうを、たずねさせたまいしかば、ちゅうてんじくの、しょうにん、まとうか、じくほうらんともうせし、ふたりのしょうにんを、どう、えいへいじゅうねん、ひのと、うのとしむかへとりて、すうちょうありしかば、かんどにて、もとより、すめらぎの、おんいのりせし、じゅけ、どうけのひとびと、すうせんにん、このことをそねみて、うったえしかば、どう、えいへい、じゅうよねん、むつき、じゅうごにちに、めしあわせられしかば かんどのどうし、よろこびをなして、もろこしのかみ、ひゃくりょうを、ほんぞんとしてありき。
p1168
ふたりの、しょうにんは、ほとけのおんしゃりと、しゃかぶつの、がぞうと、ごぶのきょうを、ほんぞんと、たのみたもう、どうしはもとより、おうのみまえにして、ならいたりしせんきょう、さんふん、ごてん、にしょう、さんおうのしょをたきぎに、つみこめて、やきしかば、いにしえは、やけざりしが、はいとなりぬ、さきには、みずにうかびしが、みずにしずみぬ、きじんをよびしも、きたらず、。あまりの、はづかしさに、ちょぜんしん、ひしゅくさいなんど、もうせしどうしなどは、おもいじに、ししぬ。
ふたりのしょうにんの、せっぽうありしかば、しゃりは、てんにのぼりて、ひかりをはなちて、にちりん、みゆることなし、がぞうのしゃかぶつは、みけんよりひかりを、はなちたもう、ろ、けいつうなどの、ろっぴゃくよにんの、どうしは、きぶくしてしゅっけす、さんじゅうにちが、あいだに、じゅっかじ、たちぬ、されば、しゃかぶつは、しょうばつただしき、ほとけなり、かみにあぐる、さんだいの、みかど、ならびに、ふたりのしんか、しゃかにょらいの、かたきとならせたまいて、こんじょうはむなしく、ごしょうはあくどうにおちぬ。――――
いまのよも、またこれに、かはるべからず、かんどのどうし、しんぴなど、にほんのもりやは、かんど、にほんのだいしょうの、じんぎを、しんようして、きょうしゅしゃくそんの、おんてきとなりしかば、かみは、ほとけに、したがいたてまつる、ぎょうじゃはみなほろびぬ、いまのよも、かくの、ごとくかみに、 あぐるところの、くだらこくのほとけは、きょうしゅしゃくそんなり、なを、あみだぶつといって、にほんこくをたぼらかして、しゃくそんを、たぶつにかえたり。
かみとほとけと、ほとけとほとけとの、さべつこそ、あれども、しゃくそんをすつる こころは、ただひとつなり、されば、いまのよの、めっせんこと、またうたがいなかるべし、これはいまだ、もうさざる、ほうもんなり、ひすべし、ひすべし。
また、わが、いちもんのひとびとのなかにも、しんじんも、うすく、にちれんがもうすことをそむき、たまわば、そががごとくなるべし、その、ゆえは、ぶっぽうにほんに、たちしことは、そがのすくねと、うまことの、ふし、ふたりのゆえぞかし、しゃかにょらいの、しゅっせのときの、ぼんのう、たいしゃくのごとくにてこそ、あらまじなれども、もののべと、もりやとをうしないしゆえに、ただいちもんになりて、くらいもあがり、くにをもちぎょうし、 いちもんも、はんじょうせしゆえに、たかあがりをなして、すしゅんてんのうを、うしないたてまつり、おうじをおおくころし、けっくは、たいしのみこ、にじゅうさんにんを、うまこがまご、いるかのしんか、うしないまいらせし、 ゆえに、こうぎょくてんのう、なかとみのかまこが、はからいとして、きょうしゅしゃくそんを、つくりたてまつりて、あながちにもうせ、しかば、いるかのおみ、ならびに、ちちなどのいちぞく、いちどきにほろびぬ。――――
これをもつて、ごすいさつあるべし、またわが、このいちもんのなかにも、もうしとおらせ、たまわざらん、ひとびとは、かへりて、とがあるべし、にちれんを、うらみさせたもうな、しょううぼう、のとぼうなどをごらんあるべし、かまえて、かまえて、 このあいだは、よのことなりとも、ごきしょうかかせたもうべからず、
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ひは、おびただしきようなれども、しばらくあれば、しめる、みずは、のろきようなれども、さゆうなく、うしないがたし、ごへんは、はらあしきひとなれば、ひの、もゆるがごとし、いちじょう、ひとにすかされなん、また、あるじのうらうらと、ことばやわらかに、すかさせたもうならば、ひにみずをかけたるように、おん、わたりありぬと、おぼゆ。
きたわぬ、かねは、さかんなる、ひにいるれば、とくとけそうらう、こおりをゆにいるるがごとし、つるぎ、なんどは、たいかにいるれども、しばらくはとけず、これきたへる ゆえなり、まえにこうもうすは、きたうなるべし、ぶっぽうともうすは、どうりなり、 どうりともうすは、あるじにかつものなり、いかに、いとおし、はなれじとおもうめなれども、。ししぬれば、かひなし、いかに、しょりょうを、おししと、おぼすとも、ししてはたにんのもの、すでに、さかへてとしひさし、すこしも、おしむことなかれ、また、さきざきもうすがごとく、さきざきよりも、ひゃくせんまんおくばい、ごようじんあるべし。
――――
にちれんは、わかきより、こんじょうのいのりなし、ただ、ほとけにならんとおもうばかりなり、されども、とののおんことをば、ひまなく、ほけきょう、しゃかぶつ、にってんにもうすなり、その、ゆえは、ほけきょうの、いのちをつぐ、ひとなればとおもうなり、あなかしこ、あなかしこ、あらかるべからず、わが いえにあらずんば ひとによりあうことなかれ、また、よまわりのとのばらは、ひとりもたのもしき、ことはなけれども、ほけきょうのゆえに、やしきをとられたる、ひとびとなり、つねは、むつばせたもうべし、また、よるの、ようじんのためともうし、かたがた、とののまもりとなるべし、わがかたのひとびとをば、しょうしょうのことおば、みず、きかずあるべし。
さてまた、ほうもんなんどを、きかばやとおおせそうらわんに、よろこんで、まみえたもうべからず、いかんがそうらわんずらん、おでしどもにもうしてこそ、みそうらわめと、やわやわとあるべし、いかにも、うれしさに、いろにあらわれなんと、おぼえきかんとおもうこころだにも、つかせたもうならば、 ひをつけて、もすがごとく、てんよりあめのふるがごとく、ばんじを、すてられんずるなり。
また、こんどいかなるたよりも、しゅったいせば、したためそうらいし、ちんじょうをあげらるべし、だいじのもんなれば、ひとさはぎは、かならずあるべし、あなかしこ、あなかしこ。
にちれん かおう   しじょうきんごどの